第13話『眠れる獅子の目覚め〜舞い降りた銀閃』?
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『生命』を奪うものを倒す為に、今まで生きてきた」
自分の意味。そして、戦う事こそが、守ることにつながると信じて。
彼は心を抑えつつ、ティナに応える。ティナは凱の瞳をまっすぐ見つめた。
「その『人を超越した力』で、『生命を奪う』ブリューヌの禍根と戦われるのですか?」
凱は首を横に振る。
「本当に戦うべき相手……戦わなきゃならない相手……この時代を……この力で、どう『振るう』べきか、ずっと知りたかった」
凱は澄んだ瞳のままで、ティナの表情を見返す。そこには、凱の言葉で目を見張ったティナがいた。
はじめてだった。彼女自身、失意の底に打ちひしがれていた彼の言葉とは思えなかったから。
力がなければ、何もできない。
力がないから、何もしなくていい。
力があるから、何かができる。
力があるから、何かをしなくてはならない。
それが当然だった。仕方のないことだった。
以上のことが、責務と使命を蔑ろにして、臣下の叛逆を促したブリューヌの真の姿。そう割り切れなければ、平和は享受できないからだ。
そして、今やっとわかった。
戦うべき時代は『飢え』と『渇き』に対してのものだと。
欺瞞と怠惰が招いた戦乱の炎に喘ぐ、力なき民衆と時代の声。
――うわああああぁ――
――お母さあああぁん!――
――痛いようおぉ……――
――うぅ……ううう……――
――助けて――
――助けて――
――助けてよおぉぉ――
聞こえる。いや、聞こえたのだ。
それだけの理由で……そう、それだけの理由だからこそ、動けるのだ。そして、動かなければならない。
勇者と信じる自分がとるべき姿。「助けて」という理由で、本当の意味で動ける理由。
自分自身の存在と向き合い、数々の苦しみの果てに、さげすまれ、疎まれ、追いやられて、凱は初めて『今まで探していた答え』に立ち戻ることができたのだ。
――たとえ、自分を否定する時代でも、悲しい今に泣いている多くの人達を、放っておくことはできない――
二人は黙って、しばし見つめ合う。凱の瞳に偽りはない。その事は、ティナにも強く感じられた。
突如、銀の閃光が、二人の空間を埋め尽くす。その光景に二人は驚愕を禁じえなかった。
輝かない銀が……一段と輝いて、光は吹き荒れる。
まるで、凱の『真正面』に立つかのように、それは出現した!
――降魔の斬輝――
――操風の長剣――
――銀閃の二つ名を持つ――
――その名は……――
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