第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#26
FUTURE’S MEMORYU〜Darkness Hell Crowd〜
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………
闇の叢雲が、他の現象を意に介さず解けていく。
ソレを操る者の意志なしで、決して消え去る事は在りはしない。
破滅の惨状、その言葉すら陳腐になるほど、
巨竜の放った流式は凄まじかった、凄まじ過ぎた。
砂城のように砕けた高層ビルなど単なる余波、
その破壊の中心帯は地を抉り大陸の形すら変えてしまった。
生前を、遙かに凌ぐ威力。
イルヤンカ本人は気づいていないが、
その総力は彼が全霊を尽くして忠誠を誓う主、
紅世の王、その真名 “冥 奥 の 環”
双名 “棺 の 織 手” アシズすらも超えてしまっていた。
『神 砂 嵐』 “天 破 壌 砕”
天地を鳴動させる秘技は他にも在れど、
コト 「破壊」 そのものにかけて、イルヤンカの業はソノ何れをも凌ぐ。
故に、眼前の光景は至極必然足るものだった。
本来、当たり前と言えば当たり前、
人間が竜に勝てる道理など存在しないのだ、
ファンタジーやメルヘンではないのだから。
バヂィッ!
行き場を失った電流が、零れたコード、
剥き出しの導線の先でショートしている。
バヂッ! バヂィ! バヂッ!
抉れた大地の血だまりで、砕け散った義手の破片が虚しく漏電を繰り返す。
その持ち主は火花で燻る血の香気を感じる事もできず、
微動だにすることもない。
「……ぐ……が…………ぅ…………」
引き裂かれた衣服、散り散りになったバンダナ、流血で塞がれた左眼、
それよりなにより、右大腿部が膝の付け根から欠損し露出した断面から
砕けた骨が剥き晒しになっている。
同様に右脇腹も四分の一が抉れて不具となり、内部の臓器が零れる寸前。
以上のダメージから類推して、当然全身の血管や筋肉はズタズタだろう。
正に致命傷と断ずるに、否、生きているのが不思議な位の
若きジョセフ・ジョースター、その無惨なる姿。
「……」
己が全霊を尽くして討ち果たした仇敵を、
イルヤンカは哀愁にも似た気持ちで見据えていた。
←TOBE CONTINUED…
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