第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#26
FUTURE’S MEMORYU〜Darkness Hell Crowd〜
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の正体は歴代 “最硬” と謳われた質量の在る魔朧煙。
喩えるなら、硬度を保ったまま泥化する石畳、
金 剛 石よりも砕けない軟化した時計、
相反する要素を併せ持った、絶対をも超えた絶大防御の不滅陣。
“甲鉄竜” イルヤンカ最大の奥義 『幕 瘴 壁』
その特異さ故に他の遣い手が存在しないため
“ゾディアック” にもその概要が記されず、
尚かつソレに比類する業も未だ生み出されてはいない。
先刻、ジョセフの放った乱重撃の際、
イルヤンカはその顎から、鱗から、貌から、
躰中の孔という孔から、その煙を滲ませていた。
故に波紋と衝撃はその 「表面」 を伝うだけに留まり、
肝心のイルヤンカ本体へのダメージはゼロに等しき状態という結果になった。
敢えて反撃に出ず衝撃にも逆らわず背後へと飛ばされたのは
この不滅の防御陣を完全なモノへとせしめるため。
若輩と違いその場の感情には流されず、
かといって勝利への布石は貪欲なまでに練りに練る、
タイプこそ違うが、こと戦闘の老獪さに於いて
イルヤンカはジョセフのそれに匹敵していた。
「GUUUUUU……GOOOOOOO……」
猛り狂って暴れ回っていた時など、
現在の畏怖に較ぶれば戯れつく仔猫のように可愛いもの。
冷静に、冷静に、更に冷静に、
裡で渦巻く激情を諫め相手を討つことのみに専心している様子は、
頭上に巨大な剣が髪一本で吊されている戦慄をジョセフの背に走らせた。
姿も朧 な、暗幕の瘴壁その中心部から、
真の姿を顕した竜王の声が響く。
「見事なり、人間……見事なり、波紋の遣い手……
一時とはいえ、この “甲鉄竜” を追い詰めるとは……
両翼をもがれ、再生が覚束ん……
『幕瘴壁』 により最後の進撃は無効化したにも関わらず、
鋼の鱗は剥離するのみ……」
噴煙よりも色濃い魔の帷 の向こう側で、
微かではあるが 「波紋傷」 の音がする。
「言っただろ、DIOの血を受けちまった以上、もう元には戻れねぇって。
『柱の男』 と違って “吸血鬼” には波紋に対する 「抵抗力」 がねぇんだ。
その傷を癒すには人間の血、いいや、 “人間じゃねぇアンタじゃ”
多分 『同類』 の血じゃなきゃ傷は癒せねぇ!
少しは解ったか! 自分が一体何をしでかしちまったのかをよ!」
窮地に追い込まれつつも、ジョセフはイルヤンカに叫んだ。
イルヤンカを同じ 『男』 として認めているからこその言葉だった。
ここまで強い者でありながら、ここまで誇り高い存在でありながら、
他者を踏み
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