たとえ毒だとしても
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「『蔓の鞭』!」
「ルリ、まだ仕掛けないで『アクアジェット』!」
マスキッパとウツボットの蔦がしなる。それをマリルリは水の噴射で右へ、左へ、反復横飛びのようなフットワークで躱していく。
(まずは、様子を見る……仕掛けるのは、それから!)
ジェムはアルカを睨みつける。伺うのは、相手のポケモンだけではない。アルカの意思だ。
「そのままずっと逃げ続けるつもりです?いつまで続きますかね」
「そんな鞭なんかに、ルリは捕まらないわ!」
「……そう思うならどうぞ。ペンテス、ティオ、そのまま攻撃です!」
やはりアルカはマリルリへの攻撃を続行させる……そのことを確認し、ジェムは指示を出した。
「今だよ!マスキッパに『じゃれつく』!」
「リル!」
一気に直進して躱し、懐に飛び込むマリルリ。両腕が、子供が駄々をこねるようにマスキッパの蔓をすり抜けて体をぽかぽかと叩く。愛らしい見た目とは裏腹にその一発一発の力はすさまじいフェアリータイプならではの攻撃を放つ。
「どう!この一撃で――」
「いやぁ見事なのです。さすがチャンピオンの娘、私の二体をかいくぐったうえでの素晴らしい攻撃。だけど」
マスキッパの体が仰け反るが、マリルリの身体もそれに引っ張られる。叩かれながらもマスキッパは蔓でマリルリの体を絡め取っていたのだ。マリルリの体を叩く力が弱まっていく。マリルリを抱きしめ、『ギガドレイン』で体力を吸い取っているのだ。
「あなたのマリルリが私の草ポケモンを倒すには、特性を生かした一撃しかない……故に、読めていました。後は肉を切らせて骨を断つだけ……まあ、そのダメージも回復出来るのですけどね」
動けないマリルリを、ウツボットも自身の蔦で絡めとって力を吸い取っていく。数秒で、マリルリの体はハエトリソウに捕まった虫のように萎れて、動かなくなった。
「あっけなかったですね。さあ……約束です。私の言うこと、聞いてくれますよね?」
ジェムがバトルに負ければ、アルカの言うことを聞く約束。それを突き付けられて――ジェムの表情は、揺るがない。
「まだ勝負はついてないわ」
「自分のポケモンが殺されなければわかりませんか?」
その声には冗談の色は含まれておらず、少し失望の感情が混じっている。ジェムがポケモンを見殺しにする性質だとは思っていないからだろう。そして負けを認めないならマリルリ一匹くらい殺すことは厭わない、そう言っている。
「違うよ。ルリ、思いっきり『アクアテール』!!」
「ッ!?」
蒼い兎が、勢い良く跳ねた。二体に縛り上げられているところからではなく、アルカの真横から。思わずアルカがその場から飛び退くが、狙いはそちらでは
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