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フロンティアを駆け抜けて
たとえ毒だとしても
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ルリのフルパワーで!!」
「まさか……『腹太鼓』!?」

 その正体は、マリルリが自分で自分の体を叩く音だった。それは、ポケモンの能力を上げる技の中でもトップクラスの効果とリスクを持った技だ。体力を半分失うことで、最大限の攻撃力を得る。

「どこにそんな体力が……」
「『アクアリング』。ここまでいえばわかるよね?」
「その技まで使っていましたか。どこまでも慎重なことです」

 攻撃を躱している間も、話している間も、少しずつマリルリは体力を回復していた。故に『腹太鼓』を使うことが出来たのだ。

「行くよルリ!『ばかぢから』!」
「『パワーウィップ』なのです!」
 
 攻撃力を最大まで上げた腕力が、ウツボットに襲い掛かる。蔓がマリルリの体を縛り上げようとしたが、まるで紙鎖でも千切るように引き裂き、ウツボットの体を掴んで――植物の根から引き抜くように持ち上げ、地面に叩きつけた。それだけの動作で、床が陥没した。

「ペンテス!」
「大丈夫、ただ戦闘不能になってるだけ。次はマスキッパに『アクアテール』!」
「……!」

 マリルリが飛び上がり、尾に水が溜まって膨らんでいく。その規模は、最初の二倍以上になっていた。

(これが、この子の本気――!?)

 為すすべもなくマスキッパは潰され、戦闘不能になる。両方とも、アルカからポケモンが離れていなければアルカを巻き込んでいたであろう範囲の攻撃だ。ジェムはアルカを傷つけないために『ハイドロポンプ』を出した。

「これで私の勝ちだよね。今はこのまま帰るけど……また今度、お話ししたいな」

 ジェム声は自分の危機を脱したというのに寂しげだった。自分の言葉でアルカの心を救えなかったことを、怒らせてしまったことを悲しんでいるからだ。

「嘘だったのかもしれないけど、初めてのファンって言ってくれて嬉しかった。女の子の友達が出来るのも初めてだって思ってたの。今はダメでも……友達に、なりたい」

 アルカは直観する。ジェムは偽らざる本心で言っていると。それがわかってなお、信じられなくて。彼女を傷つけようと、利用しようとする自分が惨めに思えて。

「だめです。帰しません。友達になんてなりません。あなたはわたしのお人形であればいいんです」

 ぴしゃりとした宣言。自分から約束を持ちだしておいてそれを否定するなど、外道の行いだとわかっている。でもムキになる自分を止められない。ジェムを、自分の手から離したくない。自分の腰につけた濃紫のモンスターボールを取り出す。

「わたしの本気を見せてあげるのです……ティオ、テンペス。『ヘドロ爆弾』!」
「まさか、まだ……!?」
「いいえ、この子たちはもう戦えないのですよ。ですが毒を
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