暁 〜小説投稿サイト〜
フロンティアを駆け抜けて
たとえ毒だとしても
[4/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ネは割れました!」

 瞬時にマリルリに蔓が絡みついていく。今度は『ギガドレイン』程度の攻撃で済ますつもりはない。

「自分のポケモンが息絶える絶望を味わいなさい!ペンテス、『リーフストーム』!!」

 ウツボットの最大火力、蔓が超高速の螺旋を描いて、マスキッパごとマリルリに襲い掛かる。味方をも巻き込む一撃を、避けられる道理はない。二体とも吹き飛ばされ、地面を転がる。マリルリの使った身代わりも消え、アルカは相手の戦闘不能を確信した。

「今度こそ決着ですね……約束を聞いてもらうのは勿論ですが。その前にあなたが二度とあんなことを言えないように、苦しみと、辱めを与えてあげるのです」
「……まだだよ」
「しつこいですよ。まさかポケモンを取り返したからその子たちで戦うとでも?」

 今のジェムにはマリルリのほかに5体の仲間がいる。彼女たちを出せば、バトルを続けることは可能だろう。だが約束を反故にさせるつもりはない。他のポケモンを出すそぶりをした瞬間、アルカはジェムの体をウツボットの蔓で締め上げ、気絶させるつもりでいた。骨の二、三本は折れるだろうが、それも報いだろうと。

「まだルリは倒れてない。――そうだよね?」
「なっ……!?」
「ルリ、『ハイドロポンプ』!」

 マリルリは、立っていた。ウツボットの後ろに、ダメージを受けずに立っていた。予想外の状況に反応が遅れたウツボットに、口からの流水でアルカから離れたところに吹き飛ばす。さっき吹き飛ばされたマスキッパと合わせて、アルカの傍から二匹は離れた。

「私はルリが『怒りの粉』を受けた瞬間、もう一度『身代わり』を使うように指示したんだよ。“まだ”って言ったら直接攻撃はせず身代わりを張るようにね」
「……!ですが、これで使った身代わりの回数は3回。もう体力の限界は近づいているはずです」

 周到かつ意表を突く戦略に驚くが『身代わり』はノーコストで使える技ではない。使えば己の体力を消費する。最初に不意をついた時と、もう一度避け始めた時。そして『怒りの粉』を受けた時で3回だ。もう使うことは出来ないはずだ。

「そうだね。もう『身代わり』は使わない。今ので決めれたら……って思ったけど、あなたのポケモン、あなたのために頑張ろうとしてるみたい」
「まだそんな甘いことを……」

 ウツボットも、マスキッパも、まだ少しだが体力に余裕はある。戦意も失ってはいない。相手がこれ以上躱す手段がないのなら勝てる。そう思った。

(だけど今……使えない、ではなく使わない、と言った?)

 アルカのひっかかりは、現実となる。マリルリの体が、ゴムで吊った水風船のように音をたてはじめる。

「だから、あまり使いたくなかったけどこれで決めるよ。――
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ