第二章
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「このベルリンに夜な夜な」
「騎士が出て来てです」
「その騎士が人を殺して回っている」
「噂によると馬に跨り全身を漆黒の甲冑で包んでいて紅のマントを羽織った」
「そうした騎士がなのね」
「はい、剣や槍を手にして」
そのうえでというのだ。
「既に何人も犠牲になっています」
「奇怪な事件ね、そして」
「そうした事件だからこそです」
まさにというのだ。
「貴女ともう一人の方にあえて日本から来て頂きました」
「そういうことね」
「お二人で共同してとなるでしょうか」
「私は一人でいいけれど彼はそうはいかないわね」
沙耶香は何処か誘う様な微笑みで市長に答えた。
「そこはね」
「もう一方の方はですか」
「ええ、彼は私と共にいられるのなら」
それならばとだ、市長にさらに話した。
「是非にと言ってね」
「そのうえで」
「ええ、今頃プラハでの仕事を急いで終わらせて」
そうしているというのだ。
「こちらに向かおうとしているわ」
「誠実な方ですね」
「私よりも遥かにね」
沙耶香は市長にのことを約束した。
「約束は何があっても守るから」
「では」
「約束の時間までには来るから、彼も」
「ではお待ちしています」
「そうしていてね、では私はね」
ここまで話してだ、沙耶香は。
市長にだ、こうしたことを言ったのだった。
「今はね」
「何処かに行かれるのですか」
「情熱的な時間を過ごしてくるわ」
妖艶な笑みを浮かべての言葉だった。
「仕事は今からはじめさせてもらうけれど」
「まだ契約の時間にはなっていなくとも」
「相手がこのベルリンにいることは間違いないから」
「ではその相手に会えば」
「その時は仕事をするわ、目も撒くことにするし」
そうしたこともしてというのだ。
「そしてこの街自体も楽しませてもらうわ」
「そうですか、では」
「ええ、今からね」
「宜しくお願いします」
軽いやり取りもしてだった、沙耶香は市長と別れの言葉も交えてからベルリンの街の中を歩きはじめた。
その時にだ、ふとだった。
金髪碧眼の長身の丈の長い黄色のコートの女と擦れ違った、コートの下はクリーム色のズボンと黒いブーツ上は白のブラウスだった。髪型はショートヘアだ。
顔の彫もあり鼻が高い、ショートヘアから出ている耳の形も見事だ。その彼女を横目で見てだった。沙耶香は声をかけた。
「そこの貴女」
「?私かしら」
「そうよ」
擦れ違ってすぐに自分の方を見た女に言った。
「貴女に用があって声をかけたのよ」
「用とは」
「貴女と遊びたくて」
そしてというのだ。
「声をかけたのよ」
「遊びたい?今から」
「時間はあるかしら、お食事でもね」
「お昼だから」
「いいかしら、いい
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