498部分:第七十話 先手その三
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第七十話 先手その三
「その神に仕える彼等もだ」
「恐れを知らないってか」
「そうなるんだな」
「しかし聖闘士は違う」
ダイダロスの言葉は深く、そしてしなやかな強さを帯びたものになっていた。柔らかな強さと言うべきか。そうした強さを含んだ言葉だった。
「まずは恐れを知る」
「それからか」
「そこからはじまるってわけか」
「恐れを知りその恐れを克服する」
それこそが聖闘士だというのである。
「そういうことなのだ」
「成程な」
「そうだったんだか」
「だから俺達はか」
ここまで聞いて青銅の者達も納得して頷いた。
「恐れを知らないといけないのか」
「そしてそれを克服して」
「本当の強さってわけだな」
「その通りだな」
それまでただ話を聞いているだけだったアイオリアがここで口を開いた。
「我等聖闘士は恐れを知りその恐れを克服する」
「そうして本当に強くなっていくんですね」
「それから」
「そうだ。それが真の強さを得る最初の一歩だ」
まさにそれだというのである。
「聖闘士としてな」
「じゃあアイオリア様も」
「恐れは」
「当然知っている」
答えるまでもないといった様子であった。
「それもな」
「そうですよね、やっぱり」
「恐れもまた」
「しかしそれを克服した」
これもまた聖闘士ならば当然の流れであった。
「そして今がある」
「じゃあ俺も」
「ああ、俺もだ」
「恐れを忘れずにだな」
「まずはな」
青銅の者達は明るい笑顔になりそのうえで言い合った。
「奴等と戦うか」
「見極めも忘れないでな」
戦士として確かなものも得られる話であった。彼等にとっては今も無駄な時間ではなかった。
それから暫くしてであった。アイオリアがまた察したのであった。
「また来るな」
「わかりました、じゃあ」
「すぐに出ましょう」
「全員聖衣の用意だ」
アイオリアはすぐに全員に告げた。
「そして車の外に出るぞ」
「はい、では」
「今から」
こうして車が止められ全員聖衣を身にまとって出陣した。ここでもアイオリアが先頭になっている。やがてその彼等の前にその者達が姿を現わしたのだった。
「そうか、もう気付いたか」
「相変わらず察しがいい」
「これが黄金聖闘士の力ということか」
「力は確かに使っている」
アイオリアもそれは否定しない。
「それにより察しもした」
「我等の小宇宙を察した」
「そうだな」
「如何にも」
まさにその通りだというのである。
「それではだ。聞こう」
「何をだ?」
「何を我等に聞くのだ?」
彼等はアイオリアの言葉を受けて返してみせたのだった。
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