494部分:第六十九話 アイオリアの選択その六
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第六十九話 アイオリアの選択その六
「だからな」
「その通りだ。それではだ」
「作るぞ」
こうしてメンバー分作る。丁度彼が作り終えた頃に全員起きるのだった。やはり夜で車の外は真っ暗闇である。車の中も暗い。
「今何時だ」
「十一時です」
ダイダロスが目を覚ましたアイオリアに告げた。
「今丁度なりました」
「そうか、その時間か」
「はい、そうです」
「それで晩飯ですけれど」
「その辺りにあるものを食べるか」
質素なアイオリアはそうしようとした。しかしここでそのダンテが彼に対して言うのであった。
「何言ってるんですか」
「何かとは?」
「今俺が作りましたから」
微笑んで彼に告げるのだった。
「ソーセージと目玉焼きを焼きましたから」
「それか」
「どうですか?それで」
「デザートもありますが」
ダイダロスも言ってきた。
「キーウィとオレンジが」
「俺も分もあるのか」
「勿論ですよ」
その問いにもはっきりと答えるダンテだった。
「それは当然じゃないですか」
「ダンテは人数分作りましたよ」
「そうか、悪いな」
ここまで聞いて感謝している顔で応えるアイオリアだった。
「やっと話が飲み込めてきた」
「起きたてですからね」
「どうしてもそうなりますね」
「済まない。しかしよく寝たな」
右手を顔にやって首を数度小さく横に振ったうえでの今の言葉だった。
「本当にな」
「そうですね。それは」
「よくお休みでした」
「おかげで身体の調子がいい」
こうも言うのだった。
「それでソーセージと目玉焼きにフルーツか」
「それと野菜ジュースです」
「どうでしょうか」
「贅沢だな」
メニューを聞いて微笑んでの言葉だった。
「それはまた」
「贅沢ですかね」
それを言われたダンテは怪訝な顔になった。
「こんなの普通の粗食じゃないんですか?朝の」
「いや、贅沢だ」
しかしアイオリアはあくまでこう言うのだった。
「贅沢だ。ダンテが作ってくれたんだな」
「はい、それは」
その通りである。自分でも言った通りだ。
「そうですけれど」
「それが何か」
「だからだ。贅沢だ」
だからだというのである。アイオリアは。
「誰かが心を込めて作ってくれたものを食べられるというのは贅沢なことだ」
「だからですか」
ダイダロスはここにもアイオリアの心を見たのだった。
「お流石です」
「流石?」
「そうです、流石はアイオリア様です」
運転しながらであったがそれでもこう告げるのであった。
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