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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
54.劣勢の最中
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は十分すぎるほどのだった。
酷く突拍子もない考えだ。口に出してしまえば友妃はそんなはずがないと確実に否定するであろう。
彩斗自身も否定したかった。しかし、今まで起きたことや海原の反応、アレイストの言葉などを考えると全てがこの答えへと収束されていく。きっと彼らはこれを気づいていて彩斗を逃したのだ。
点でバラバラだったそれぞれの事柄が線へと繋がっていき一つの結論を導き出した。
「彩斗君?」
友妃がこちらを心配そうに見つめている。
このことを言うべきなのだろうか。言ったところで信じてもらえるとは思わない。
しかし、彼女にこのことを告げずにこのまま戦いに行けばきっと後悔することになる。それだけはわかった。
それならば……
「友妃、多分信じれねぇと思うけ───」
その時だった。凄まじい轟音が大気を揺らした。それは衝撃波へと変わり一瞬のうちに辺りを飲み込んでいく。
とっさに友妃の体へと覆いかぶさり、吹き飛ばされぬように隆起した地面にしがみついた。
音から数秒遅れて彩斗の体をとてつもない衝撃波が襲いかかる。
腕が引きちぎれそうな痛みが襲う。
このままでは友妃もろとも吹き飛ばされる。あんなのに巻き込まれれば確実にタダではすまない。
この状況を打開する手段を彩斗は知らない。しかし、あいつなら知っているはずだ。
「……おい、力を貸しやがれ──■■■ッ!!」
奴の名を叫ぶ。それは声になることなく空気中へと消えていく。しかし、叫びと同時に体へと襲いかかっていた衝撃がまるで嘘だったかのように体が軽くなる。
だが、いまだ暴風は吹き荒れている。
それはまるで体が質量を失ったかのような感覚。
吹き荒れていた暴風が治ったと同時に顔を上げた彩斗は目の前に広がった光景に唖然とするしかなかった。
「なんだよ、これ」
傷一つ付けることができないはずの夢幻の世界の建物も地面もその全てが先ほどの衝撃で原型をとどめないほどに砕け散っている。
いや、違う。夢幻の世界が壊されたのだ。
それも術者が意図せぬ形で。
本来、全ての干渉を拒む夢幻の牢獄が壊されたということ。
それが意味するのは術者の……
「……母さん」
彩斗は再び化け物同士がぶつかり合う場所へ向けて足を動かすのだった。
「ハハハハッ! 最高だよ、女ァ!」
狂気に満ちた声とともに蛇の群れが一斉に襲いかかってくる。
それはやはりこちらへと到達する前に不可視の壁に触れて消滅していく。
「何度やっても同じよ。あんたの攻撃は私たちには届かない」
「だったら、こいつならどうだァ!」
金髪の少年が笑みを浮かべ、指の骨を鳴らした。それとともに蛇の眷獣の後方から鮮
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