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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
54.劣勢の最中
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元にあたりに先ほどまで金髪の吸血鬼の近くに倒れていた三人の“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の姿があった。
「なるほどなァ……これでそいつらを巻き込まずに済むってことか? だが、そいつらは所詮ただの抜け殻だぞ。俺が殺す前に全員眷獣の反応が消えやがったからな」
その言葉に美鈴は笑みを浮かべた。
その表情は柚木の知っているいつもの優しい彼女のものだった。
「教えてくれて感謝するわ。それならまだ助けられるわね」
優しい表情は不敵な笑みへと変わり、美鈴は右腕を空高く掲げた。膨大な魔力を空気中に撒き散らしながら彼女の手から鮮血が放出される。
それは輝かしい光を放ちながら徐々に獣の形を形成していく。
「───来なさい、“
神光の狗
(
アポロ・ガン
)
”!」
美鈴の叫びとともに夜の街を照らす光源が現れる。その光から現れたのは太陽のごとく輝く美しい毛並みを持つ狗。
吸血鬼の天敵たるはずの太陽なのになぜか心地いと感じてしまうほどだった。
「ククククク…………おいおい、そうくるとは予想外だったなァ」
金髪の吸血鬼は、笑いを隠すように手で顔を覆う。隙間からわずかに覗く鋭い白い牙がなんとも不気味だ。
「助けるだのなんだのほざいてた割には、オメェも殺ってんじゃねェかよォ」
「同じにするな。私はお前みたいに“
神意の暁
(
なかま
)
”を殺したりなんかしていない」
「まァいいさ。どうせそいつらもまとめて俺のものになるんだからなァ!」
少年が叫ぶ。それとともに禍々しい魔力が大気へと放出される。
不敵な笑みを浮かべた金髪の吸血鬼は鮮血が溢れ出す右手の指の骨を鳴らした。パキッ!、という乾いた音が空気をわずかに振動させる。
形になる前からけたたましい咆哮が響く。鮮血は徐々にその姿を形作っていく。
柚木はあいつを知っていた。交戦したというわけではない。しかしアレイストに聞いた話通りだ。
鮮血の如く鮮やかに染められた鬣。全てを抉り取るように鋭く尖った爪と牙。
間違いない。間違えるわけなどない。
あれは、戦神の名を冠した“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”の眷獣。
九番目の眷獣、“
戦火の獅子
(
アレス・レグルス
)
”だ。
「厄介なのがあいつの手に回ったわね」
舌打ちをしたのちに美鈴は鮮血の獅子を睨みつけた。
「美鈴さんあの眷獣って……」
「柚木ちゃん気をつけなさい。あたしも頑張って守ってはみるけど全部は防ぎきれないと思うから」
「さァ、俺をもっと楽しませろよなァ」
狂気の笑みを浮かべた少年の叫びが闇夜の街に響いた。
彩斗と友妃は再び、
神々
(
ばけものたち
)
の戦場へと向けて足を走らせる。
息は切れ、今まで戦ってきた疲労が
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