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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
54.劣勢の最中
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目の前で起きている出来事を柚木はただ呆然と見つめることしかできなかった。
止めどなく襲いかかってくる蛇の群れ。その一体一体が“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”が操る凶悪な眷獣から生み出された悪意の塊。それが柚木たちの前で一瞬で消滅する。まるでこちらに侵入すること拒む不可視の壁がそこにそびえ立っているかのようだ。
「おいおい。本当に楽しませてくれんじゃねェか、女ァ!」
狂気に満ちた笑みを浮かべる金髪の吸血鬼。
「だが、これは防げるかァ?」
指の骨が鳴る乾いた音が空気を伝う。
それとともに巨大な蛇が蛇の女体の後方から出現しこちらへと襲いかかってくる。
あれは、“
真実を語る梟
(
アテーネ・オウル
)
”の無力化の翼もろとも噛み砕いた大蛇の顎。
「美鈴さん、避けて!」
しかし美鈴は不敵な笑みを浮かべて思いもよらぬことを口にした。
「避ける必要なんてないわよ」
その言葉と共に一つのイメージが頭に浮かんだ。こちらへと飛来してくる大蛇の体へと無数の剣が突き刺さる。
「え?」
想像だにしなかった光景に柚木からはそんな声が漏れた。
目の前に映された光景はまるで夢のようで、幻のようだった。こちらの飛来してきた大蛇の体に無数の銀色の刃が突き刺さっている。それは先ほど柚木の頭の中に浮かんだイメージ。
なにが起きたのかがわからない。
イメージが具現化したとでもいうのか。
「ククク……おもしれェ。最高だなァ、オマエ!」
攻撃が防がれているというのに金髪の吸血鬼は悔しがるどころか歓喜に満ちた笑みを浮かべている。
それに対して美鈴は先ほどからひどく辛そうな顔をしている。
「美鈴さん、大丈夫ですか」
大丈夫じゃないことなどわかっている。
それでも今の柚木にかけられる言葉はその程度しかなかった。
「大丈夫よ、この程度どうってことないわ」
それが強がりだということは考えるまでもなくわかった。
このまま美鈴だけに戦わせるわけにはいかない。拳を握りしめて再び、眷獣を出現させようとするが、美鈴がその手を掴んで首を横に振る。
「……あと少しだけ堪えて」
「え……?」
美鈴が言っている意味がわからなかった。
何か秘策でもあるというのだろうか。
「なにコソコソ話してやがる!」
無数の蛇が再びこちらへと襲いかかってくる。
それは再び不可視の壁によって消滅する。
しかしその度に美鈴の疲労の色が増していく一方だ。
「どうしたよォ! 守ってばかりじャ俺は倒せねェぞ!」
まったく力を緩めることがない猛攻が不可視の壁へと襲いかかる。
金髪の吸血鬼は何人もの“
神意の暁
(
オリスブラッド
)
”と戦ってきているは
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