第三十二話 長崎での日常その三
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「別にね」
「うん、本当に言わないから」
「いいから、とにかく人はね」
「よく見ることね」
「このことがいいから」
またこう言ったのだった、優花に対して。
「じっくりとね」
「わかったわ、そうするわね」
「それでね」
さらに言った優花だった。
「何でもよく見たらいいって言われたから」
「その人に」
「人だけじゃなくてね」106
「何でもね」
「だからなのね」
また都島が言ってきた。
「優花ちゃん美術部に入るまでに時間置いたのね」
「そうなの」
「よく見てなのね」
「決めたの」
「顧問の先生とか部員の人達とか」
「どんな人達かね」
実際にとだ、優花は都島に答えた。
「それで入ったの」
「そうなのね」
「そう、それで入部したけれど」
「どう?うちの美術部」
「ええ、とてもいい部活ね」
にこりと笑ってだ、優花は都島に答えた。
「入ってよかったわ」
「そう言ってくれて何よりよ」
「あれっ、けれど」
「私は陶芸部だけれどね」
都島は自分が所属している部活のことも話した。
「けれど学校の部活をいいって言ってもらうとね」
「あっ、自分の学校だから」
「嬉しいのよ」
「そうよね、そう言われると」
「優花ちゃんもでしょ」
「自分の学校だから」
それでと言うのだった。
「そうなるわね」
「そうでしょ、学校に愛着あるでしょ」
「確かにね」
「優花ちゃんはまだそこまではいかない?」
「転校してまだすぐだしね」
「それでかしらね」
「けれど徐々にね」
今はそうでもとだ、今度は若宮が優花に言った。
「出来てくるよね」
「学校への愛情も」
「だからね」
「徐々になのね」
「出来てくるから」
だからとだ、優花に言うのだった。
「安心してね、いや」
「いや?」
「この場合安心って言うのかしら」
自分の言葉にだ、若宮は笑ってこう優花に言った。
「この場合は」
「自然に出来て」
都島がその若宮に応えた。優花の目の前で。
「そうでない人もいるから」
「人それぞれね」
「だから自然の成り行きね」
「この場合は」
「なってくるのよ」
自然にというのだ。
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