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Blue Rose
第三十二話 長崎での日常その二

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「そのせい?」
「人生経験豊富って」
「そう思ったけれど」
「私別に」
「人生経験はなの」
「だってまだ高校生よ」
 だからだというのだ。
「そんなに経験してないし出会った人も少ないし」
 だからだというのだ。
「別にね」
「豊富でもないっていうのね」
「そうだけれど」
「いい人に沢山出会ったんじゃないの?」
 別の娘が話に入って来た、茶色がかった髪の毛をショートにした小柄な娘だ。スカートの下は黒のハイソックスである。やはり同じクラスの都島亜紀だ。クラスでは風紀委員をしているが校則には五月蝿くはない。
「優花ちゃんは」
「いい人に」
「そう、これまでね」
「あっ、人生が濃いのね」 
 若宮は都島の言葉にはっとした顔になって応えた。
「つまりは」
「そうじゃないかしら」
「成程、私達よりもいい人達に色々会って」
「人生経験が濃いからね」
「それが豊富なのね」
「そうじゃないかしら」
 こう言う都島だった、若宮に対して。
「優花ちゃんって何か達観したもの感じるし」
「最初からわかっている様な」
「そうしたものがある感じだから」
 だからだというのだ。
「色々あったんじゃないの?」
「そうよね、一人暮らしだしね」
「一人暮らしも事情あるのよね」
 真相には全く気付かないままだ、都島は優花に顔を向けて尋ねた。
「やっぱり」
「ま、まあね」
 その真相を意識して内心焦りつつだ、優花は都島に答えた。
「ちょっとね」
「ご両親いないのよね」
「そうなの」
 このことについては問題ないと思い話した。
「親戚の人と暮らしていたけれど」
「その人と別れて」
「長崎に来てね」
「それで暮らしてるのね」
「一人でね」
 そうしているとだ、都島にも若宮にも話した。
「そうしてるの」
「その一緒にいた人はどうなったの?」
 若宮jは何となくといった感じで優花に問うた。
「仲良かったのよね」
「ずっとね、また一緒に住もうってお話してるけれど」
「今はなの」
「離れ離れになってるの」
「何かドラマある?」
「ちょっと、雫ちゃん」
 何となく優花に聞く若宮にだ、都島は掣肘の為に言った。
「プライベートな話だから」
「あっ、そうね」
「だからね」
「あまり聞いたら駄目ね」
「そうよ」
 表情も牽制する顔で言うのだった。
「こうしたことなね」
「そうね、御免ね優花っち」
 優花に顔を戻して頭を下げた。
「もう聞かないから」
「いいわ、気にしないで」
 微笑んでだ、優花は若宮に返した。
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