第三十二話 長崎での日常その一
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第三十二話 長崎での日常
姉が神戸に帰ってから優花はまた一人になった、このことは確かに寂しかったが学校に行くとそうではなかった。
クラスに入るとだ、すぐにだった。
クラスメイトの一人、若宮雫が彼女のところに来た。金髪にしてメイクも派手で胸の大きな如何にもという少女だが。
優花のところに来るとだ、こう言ったのだった。
「ねえ優花っちいい?」
「どうしたの?」
「この前お姉ちゃんに言われたの」
メイクは派手だが地顔も整っているのがわかる顔だ、その顔を曇らせて言うのだった。
「私いい恋愛出来ないって」
「どうしてなの?」
「何かね」
曇った顔でまた言った。
「男を見る目がないんだって」
「そうお姉さんに言われたの」
「悪い男に引っかかるって」
そう言われたというのだ。
「昨日言われたの」
「悪い男ね」
「ショックよ」
外見とは裏腹に繊細な言葉だった。
「私変な男に騙されて泣くの?」
「それはね」
「それは?」
「じっくり見ればいいんじゃないかしら」
穏やかな声でだ。優花はクラスメイトに話した。
「そうすればね」
「いいの」
「そう、いいから」
「相手をぱっと見ただけで判断しないことね」
「親戚の人に言われたの」
実の姉であることは隠しその範囲を広くさせて話した。
「そうね」
「相手の人をなの」
「よく見て」
「そうして付き合えばいいのね」
「人はよく見たらわかるっていうから」
「そうね、言われてみれば」
若宮も言われて考える顔になり頷いた。
「よく見れば悪い奴とかね」
「いるでしょ」
「ええ、実はいい人とか」
「そういうことを見極めて」
「それでなのね」
「付き合えばいいと思うわ」
優花は穏やかな声のままクラスメイトに話した。
「私はね」
「そうね、確かにね」
若宮は優花のその言葉に頷いた。
「よく見るべきね」
「人を見る目がないっていうのは」
「そのことはよく見ていない」
「じっくりとね、だからみたいよ」
「そうなのね」
「だからね」
それでというのだ。
「雫ちゃんも人をよく見ればね」
「お姉ちゃんに言われないのね」
「そうだと思うわ」
「わかったわ、やっぱり優花ちゃんこういうのわかってるわね」
「そうかしら」
「ええ、よくね」
こう言ったのだった。
「人のことが」
「そうかしら」
「人生経験豊富とかね」
笑ってだ、優花にこんなことも言ったのだった。
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