第二幕その十一
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「これがね、ただ」
「ただ?」
「完全なかかあ天下の家もね」
実際にというのです。
「あったりするからね」
「何かですね」
「一概には言えないんですね」
「傍から見ても」
「そうですね」
「中々はっきり言えないんですか」
「だからジンジャー将軍のお家もビリーナのお家もね」
どちらもというのです。
「傍からだとわからないよ」
「そうなのね」
トロットはビリーナを見ながらキャプテンに応えました。
「じゃあビリーナの言う通りに」
「そう、亭主関白かも知れないよ」
「そう言うとジンジャーさんのお家も」
「どうかわからないよ」
「そうしたものなのね」
「これがね」
「何ていうか」
トロットはキャプテンの言葉から考えるお顔になって言うのでした。
「世の中って難しいわね」
「難しいというか面は一つじゃないというか」
「それが世の中なのね」
「そうだよ、一面だけを観てもね」
「ものごとはわからないのね」
「全部はね」
「そういうものなの」
考えるお顔のまま言うトロットでした。
「家庭も」
「そうなんだよ、何でもね」
家庭だけでなく、というのです。
「多面だよ」
「箱みたいに」
「むしろ箱よりも面が多いんだよ」
箱は六面ですが。
「六面だけとは限らないから」
「七面も八面もあったりして」
「数えきれないだけの面があることもね」
「あるのね」
「そうしたものだよ」
「成程ね、わかったわ」
ここでやっと頷いたトロットでした。
「そうしたことが」
「そうね、それと」
「それと?」
「そうしたことは人もよね」
「何でもそうだよ」
人も他の生きものもというのです。
「世の中にあるものは何でも多面なんだよ」
「私もキャプテンも」
「そうだよ」
穏やかにお話をするキャプテンでした。
「一つじゃないんだ」
「そういうものなのね」
トロットはキャプテンの言葉に考えるお顔になって頷きました。
「それでなのね」
「ビリーナのお家もね」
「本当に亭主関白かも知れないのね」
「そうだよ」
「私は絶対に嘘を言わないわよ」
実際にビリーナは嘘を言うことはありません、それは彼女のプライドが許さないからです。それは絶対にしないのです。
「私の誇りに誓ってね」
「それは私も知ってるわ」
「そう、だからね」
それでというのです。
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