Side Story
少女怪盗と仮面の神父 35
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近でアリア信仰の有力者と繋がりある女性を集団で暴行。四歳になる実子の目の前で死に至らしめた。
結果、どうなったと思う?
全世界発信の、バーデル王国総叩きよ。
大戦勝者のアリア信仰に対して唾を吐いた国がどういう扱いを受けるか、敗戦国へのちょうど良い見せしめになったってワケ。
バーデルの上層は、アリア信仰寄りだった各国の激しい怒りを抑える為、自国の安全の為に、暴行犯共を考えつく限りの残酷な拷問付きで、大々的に処刑させた。けどこの処刑劇、元々アリア信仰に好感を持ってない人間にはアリア信仰主導で行われた胸くそ悪い私刑にしか見えなかったの。おかげでアルスエルナへの反感は、表に出ずとも今日まで絶えず続いてる」
「…………?」
十九年前の暴行事件に関しては初めて聴いたが。
アルスエルナとバーデルの不仲は周知の事実だ。
何を今更……
「そんな中、アルスエルナがたった一人の義賊に国土を荒らされてること。義賊対策の中身が、自国の兵力向上ではなく外部の傭兵を雇っていること。現リアメルティ領主が元怪盗集団の構成員であり、彼女の正式な後ろ楯が、アルスエルナ王国の第二王子であること。更に、次代のリアメルティ領主が現役の義賊であること。ついでにバーデル内で商人を殺していた暗殺組織の現首領が生粋のアルスエルナ人であることを知ったら、反アルスエルナ派の勢力はそれらをどう受け止め、どう考え、どんな行動に出るかしら?」
「……………………??」
震えが止まる。
視界が暗転する。
喉の奥に形ない氷が詰まり、呼吸を止めた。
だからか。
だから、さっきの会話でエルーラン王子は自身の立場を殊更強調し。
騎士達は、答えを教えられても反応しないミートリッテに動揺したのか。
(わたし……私は、なんてことを……っ!)
「ミートリッテ嬢!」
「ミートリッテ!」
膝から崩れたミートリッテに、ベルヘンス卿が慌てた様子で声をかける。
遠くでハウィスの声も聞こえたが。
真実の重さに潰れた思考はもう、彼女の思いやりも受け付けなかった。
『バーデル王国の侵攻による、アルスエルナ王国の崩壊』
それが、イオーネの…………
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