Side Story
少女怪盗と仮面の神父 35
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ズに深く感謝してるし、欲しい物を手に入れる為に、神父とお前を利用する。それだけの話よ」
握り締めている毒矢を、自らの顔に引き寄せ。
愛しささえ感じさせる仕草で口付けるイオーネ。
鏃が離れた今、本気を出せば逃げられる筈なのに。
アーレストは微動だにしない。
この男、やっぱり、わざと捕まってる。
「あなたが欲しい物って、何? 私を痛めつけて、ハウィス達を苦しめて、そんなことをして、あなたは何を得られるの?」
イオーネ自身が義賊の被害者で、アルフィンの生母ウェミアの関係者だ、というのは、本人の言葉で確認できた。
狂気染みてる言動の数々は、復讐が目的ならば、むしろ正気だ。
アルフィンを傷付けベルヘンス卿とマーシャルを殺しかけ、多くの商人を殺したことは、絶対に赦せないが。
加害者に、被害者を責める権利など、無い。
だが、彼女は復讐を嘲笑った。
思い返せば憎悪そのものにしか聴こえない言葉をいくつも放ってた口で、報復の可能性を全否定した。
(解らない。復讐が目的じゃないなら、イオーネは何を求めてるの?)
ベルヘンス卿の袖を握り締めて反応を待つミートリッテに。
けれど、返ってきたのは答えではなく。
「ねえ。バーデルの軍とネアウィック村の自警団が共同で包囲網を敷いてたこの時機に、追われている私達が、わざわざ足跡を残してまでアルフィンを拉致したのは、どうしてだと思う?」
「え?」
「本来は王都に住んでる筈のそこの殿下が、既にハウィスへと継がせた後のリアメルティ領に現れた理由は? ブルーローズを含めて七十人……いえ、ここは百人くらいかしら。これだけ多くの騎士を一度に動かした理由は? 殿下が、ハウィスとの賭けを通じて、お前を領主の後継者に指名した理由。私が、指輪の継承を後押ししてやった理由。それって、なんだと思う?」
「は? え??」
一度に様々な情報を与えられ。
咄嗟にエルーラン王子を見上げてしまった。
上半身をひねり腰に手を当ててイオーネとアーレストを横目に見る彼は、一音も発することなく、不敵に微笑んでいる。
「あっははは! まあ、お前には答えられないでしょうね。せっかく殿下が教えてくれた答えを全部聴き流していたもの。良いわ。私が教えてあげる。まとめてしまえば、至極単純な話よ」
イオーネの右腕がまっすぐに伸び、毒の鏃でミートリッテを指し示す。
「約二十五年前に開かれた大戦で、バーデルとアルスエルナは、主要宗教の違いから敵対関係にあった。終戦後には、表面上アリア信仰にも門を開いたバーデルだけど、面白く思わない連中は当然貴族にも民間にも大勢居たわ。
その一部が、十九年前アルスエルナとの国境付
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