【その先へ】
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「お兄ちゃ〜ん!……お兄ちゃん、まだ起きてないのっ? ねぇってばぁ!」
(───ん……お兄、ちゃん...? 誰の、事だ。ヒナタ様は俺の事を“兄さん”と呼ぶし、ハナビ様は“ネジ兄”と呼んでいる……。二人の声とも、違うな。いったい誰が────)
「んもぅ、おフトン引っぺがしちゃうんだからね!?」
「のわっ……?!」
いきなり掛け布団を引きはがされたネジは思わず声を上げたが、その声は普段の自分の声とは異なって聞こえた。
「な、何をす...っ、ヒナタ……様??」
「え? 何言ってるのお兄ちゃん、ヒナタってお母さんの名前でしょっ? わたしは“ヒマワリ”! 寝ぼけてるでしょ〜」
顔を遠慮なく近づけてくる相手は、従妹のヒナタに似てはいたがよく見ると、白眼ではない薄蒼い目で両頬には何故か二本線がある。
(ヒマ、ワリ……? ヒナタ様が、お母さん...!? 何の夢を見ているんだ、俺はッ。しかも声が、自分のものではないようにトーンが高く……。ん、髪が───短くなっている?!)
朝起きた時には顔横を流れているはずの自分の長い髪が無い事に気付き、思わず頭に手をやり前髪に触れて目線を上にして見ると、自分の黒めの髪色とは異なる黄色になっている事に驚く。そして周りに目を向けると、明らかに自分の部屋ではない雑多な空間だった。
「...ちょっとお兄ちゃん、ビックリした顔してどうしちゃったのっ? 今日お父さん久しぶりのお休みで、家族でピクニックに行く約束でしょ! お父さんはまだ起きて来てないけど、お兄ちゃんは早く支度してよっ」
(お父さん……? 俺の父様は、この世でただ1人だ。おかしな夢を見ているんだとしたら、頬でも強くつねれば目覚めるのでは───)
ネジは見知らぬ女の子の前で、強めに頬をつねってみた。
……しかし、ただ痛みを感じただけで夢から覚める気配は無い。
「───何やってるの、お兄ちゃん。だいじょうぶっ?」
「大丈夫……では、ないかもしれない。ここはどこで、おれは誰になってるんだ……??」
ネジは正直に答え、そう喋っている最中にも自分の声ではない高めのトーンに戸惑いを覚える。
「えっ、ど、どうしよう、お兄ちゃん何か変...? とりあえず、お母さんとこ行こうっ!」
「あ、ちょ...っ?!」
ネジは寝巻き姿のままヒマワリという女の子に強引に手を引かれ、二階の階段を下りて居間らしき場所に連れて行かれた。
「あらボルト、おはよう。...って、まだ着替えてないのね。ヒマワリ、寝巻きから着替えてないお兄ちゃんの手を引いて来たりして、どうしたの?」
「なんかね、お兄ちゃん変なの。起きた時にわたしのこと、お母さんの名前で呼んだし、ここがどこだか、自分が
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