人形-マリオネット-part5/揺れ動く心
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そうよ。ファウストを使い、今まで金と権力目的で悪事を働いてきたあの男に、これまでの行いを後悔するまで嬲り殺させたわ!
死に際のあの男の恐怖に歪んだ顔…傑作だったわ。私にとって一流舞台を鑑賞したときくらいの喜びを感じた…心が浄化された様な快感だったわ」
くっく…と狂気を孕んだ笑みをこぼしている。復讐心に塗れるあまり、こんなに冷酷さを抱くとは。しかも、関係ないはずの平和な世界で暮らしていた少女を操り、人殺しをさせるという残酷なことをさせるなど、ウェザリーのやり方は非情すぎた。
「さて、悪いけど、私の人形に手を出さないでもらえるかしら。
大方、虚無の魔法であの子にかけた術でも解くつもりでしょう?ウェールズ皇太子にそうしたようにね」
「そのために自ら出向いたというわけか。だが迂闊だな。術者自ら出向くとは」
アニエスは銃を構えてウェザリーを睨む。しかしウェザリーは余裕ある笑みを見せて全く動じなかった。
「あら、同じ男を憎んだ女同士、銃を向けてくるの?」
「確かに貴様は、私やミシェルと同じ境遇に追い落とされた。そこは同情してやろう。だが、今の私はアンリエッタ女王陛下とこの国をお守りする騎士でもある。どんな理由があろうと、この国に害をなす者とは戦わねばならない」
「残念ね。けど…私が何の準備もなく来ると思ったのかしら?」
彼女が指をパチンと鳴らすと、突如建物の瓦礫の下から次々と、少年・老人・女性…あらゆる年齢層の何人もの人たちが這い出てルイズたちを取り囲みだした。
「こ、これは…!?」
「彼らは『ビーストヒューマン』。私が作った、ビーストと同じ細胞を死体に埋め込んだ肉人形よ。ハルナと違って死んでいるからいびつだけど、人間相手には十分でしょう?せっかくの怪獣も、ファウストと戦ってだいぶ疲労しちゃったみたいだし、城の守りも手薄にするわけにいかないでしょう?」
「く…」
ジュリオが珍しく顔をしかめた。今のゴモラは、ファウストの攻撃から城を守るためにファウストとの戦闘の四角をゼロに譲って一度下がっている。リトラはさっきのファウストの攻撃のダメージが回復していない。
ルイズも同じだった。彼女の魔法は、デルフ曰く、守り手である使い魔=つまりサイトが彼女を守ることで詠唱の暇を与えられる。これだけのビーストヒューマンに囲まれてしまっては、詠唱の余裕さえもない。しかも虚無の魔法はいちいち呪文が長いので発動に必要な時間に関しても手間を取られてしまう。
「死んだ人を…なんて酷い真似を!」
かつて戦った異星人の中に、こうして亡くなった人を道具のように利用してきた手合いに今でも覚えがあっただけに、たとえ過去に辛い目にあったことがあるウェザリーでもこの外道らしすぎる手段を講じたことに、ムサシは怒りを露わにした。
「さあ、私のかわいい人形たち…そいつらを殺しなさい。
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