先恋〜卑怯者〜
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だ、走った。何処に行きたいのか、見当も付かない。沙奈のところ?今は何があっても行けない、いや、怖いから、行きたく無いのだろう。学校?今一番行きたく無い場所だ。学校的にも不利なこの状況、周りの生徒が知っているはずは無いのに、気付かれているのでは…と、不必要な恐怖を覚えた。
「…何処に逃げれば良いんだ…」
逃げるなんて、卑怯だ。最低だ。そんな声が聞こえてくる。分かってる。先の事も考えず、自分の思いをぶつけ、沙奈に思われたいと思い始めたあの時から、自分はずっと卑怯者だったんだ。自分勝手で、何も考えられない。何と幼い___。
「…沙……………瑞木…先生…………、」
もう、“沙奈さん”なんて呼ぶ資格は無い。特別な人になっていた時間は、あっという間に終わってしまった。
これからはまた、ただの教師と生徒__。
他人と…他人だ_______。
「…逃げるのも…会うのも…卑怯なら、何をすれば良いんだろうな…、償う事が正しいのなら、どう償えば良いんだろうな…、」
初めから、愛す資格など、無かった。
陸太が自転車を止めた場所は、駅前だった。
「…僕は何をしようとも、最後まで卑怯だ。それなら……もっと卑怯になっても……。」
陸太は逃げる事を選んだ。戦う勇気など、無かった。許してほしい。最後に一度だけ、その名を呼ぶ事を許してほしい。
「…沙奈さん________。」
…僕は、卑怯だ___。
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