第二章
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「ではじゃ。奉納も済ませた」
「はい、それではですな」
「郡山城に戻りましょう」
「今より」
「そろそろあの城の石垣もなおさねばな」
ここでだ。元就は城のことを思った。それでこう言ったのである。
「崩れかけておるわ」
「そうですな。確かに最近の雨で危なくなっております」
「では城の石垣をなおしますか」
「そうしましょうぞ」
こうしてだ。城の石垣のことが決められたのだった。元就は城に戻るとすぐに石垣の修繕を命じた。青い海と赤い社を後にしてすぐのことだった。
だがこの石垣がだ。思う様にだった。
修繕が進まない。すぐに崩れてしまう。このことにだ。
家臣達はその何をしてもすぐに崩れる石垣、石が土と混ざって崩れているそれを見てだ。困った顔になっていた。そのうえでだった。
彼等は顔を見合わせてだ。こう言い合った。
「ううむ。これはいかんな」
「祟りかのう」
「そうじゃな。これはな」
「何かあるぞ」
「そうでなければおかしいぞ」
迷信があった。彼等の今の言葉と考えには。
それでだ。彼等はこう言い合った。
「ではじゃな」
「うむ。そうじゃな」
「こうなってはあれじゃな」
「あれしかないな」
こうだ。眉を顰めさせて言い合うのだった。そしてだ。
彼等は苦い顔でだ。また言い合ったのだった。
「では殿に申し上げよう」
「そうじゃ。そうしてそうして頂こう」
「さもなければ石垣が整わん」
「仕方ない、こうなってはな」
「その通りじゃ」
こうだ。半ば自分達に言い聞かせてそのうえでだった。彼等は元就の前に集った。そしてそのうえでだ。元就にこう直言したのだった。
その直言を聞いてだ。元就は眉を曇らせて言った。
「人柱か」
「はい、そうです」
「城の石垣の修繕が進みませぬ」
「何かあるとすぐに崩れます」
そうなっているとだ。彼等は元就に話すのだった。
「だからここはです」
「石垣を整える為にです」
「人柱を埋めましょう」
「それを贄にしましょう」
そうするべきだとだ。元就に対して提案するのだった。
だが元就は主の座、上座においてだ。袖の下で腕を組みだ。
そしてそのうえでだ。彼はこう言った。
「ならん」
「人柱はですか」
「なりませぬか」
「そうじゃ。ならん」
こう言ってだ。彼は人柱を否とした。
それからだ。彼は家臣達にだ。その苦い顔で告げたのである。
「そうしたことで人の命を奪ってはならん」
「ですか。人柱はですか」
「なりませぬか」
「決して」
「そうじゃ。何があってもならん」
またこう答える元就だった。そこには揺ぎ無いもの
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