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第一章
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「それではですか」
「殿は」
「その悪の道を歩むわ」
 己でだ。その覚悟も口にしてみせたのだ。
「あの斉藤道三や松永久秀の様にな」
「いえ、あの者達はまことにです」
「正真正銘の悪党ではござらぬか」
「それこそ蝮に蠍です」
「剣呑な者達です」
 家臣達は斉藤や松永についてはだ。即座にこう言えた。
「まさに天下の奸賊です」
「天下を乱す者達ではありませぬか」
「そうした者達と殿は違います」
「何一つとして違います」
「ならよいがのう」
 寂しい笑みになってだ。また彼等に応える元就だった。
 そのうえで彼は社の中、木の渡り廊下から海、青い海を見た。そしてこう言うのだった。
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