23. 友達と手をつないで 〜赤城〜
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てこちらからアプローチをかけたとしても……。
ここで、自分が言い寄ったときの提督のリアクションを無駄に想像してみることにした。
『提督……私は……私は提督のことを……お、お、お慕いしています!!!』
『あらそお? ありがと赤城。じゃあお礼に、おじさんが買ってきたどら焼きを一個あげるね』
さもありなん……。きっと相手がどれだけ情熱的に迫ったとしても、きっと提督は何かしらの理由をつけてうまく捌いてくることだろう。……いや、私は決して提督のことをどうこう思っているわけではないけれど。
その後も私たちのとりとめのない話は続き、青葉さんが所用で席を外すことになったところで、私達の井戸端会議は終了になった。
「今日は貴重な情報ありがとうございましたっ!」
「じゃあ青葉さん」
「今晩はみんなで大淀さんに詰め寄るのです!! ぐひひひひひ」
「ですなぁ電さん! 今晩が楽しみですねぇ! ぐふふふふふ」
最後に『恐縮です!』と一言いうと、青葉さんは演習場の方に去っていった。今日はこれから北方棲姫さん南方棲姫さんにインタビューする予定だそうだ。
「それじゃあ赤城さんも、また夜に!」
「はい! ご飯食べてお風呂に入ったら、資材貯蔵庫に向かいます!」
「了解なのです!」
「了解した! じゃああとでな!」
入り口そばのベンチで苦しそうに『ワ……げっぷ……』と寝っ転がるワ級さんと、そのワ級さんのお腹をさすりながら『そろそろ生まれるクマ?』と相変わらず意味不明の寸劇を繰り広げている球磨さんには目もくれず、私たちはそこで解散する。
「集積地さん」
「ん?」
私たちと別れた後、しばらく歩いたところで電さんが満面の笑みで集積地さんに左手を差し出していた。
「ん!」
「んー」
その左手を集積地さんは右手で取る。二人の手は、今日もしっかりと繋がれた。
「今日の晩ご飯は筑前……」
「食べ終わったらホウショウに頼んでおしるこも……」
満面の笑顔で会話をしながら、二人は資材貯蔵庫の方へと、ゆっくりと歩いて行った。
本当に楽しそうに手を繋いで歩く二人を見ながら、私はこの数カ月間の事を思い出していた。
電さんの『集積地さんと手を繋ぎたい』という思いは、ロドニーさんを変え、永田町鎮守府のみんなを救い、深海棲艦さんたちと私達の間に友情を育み、そしてついに集積地さんと気兼ねなく手を繋いで歩ける世界を作り上げた。それはひとえに、電さんの純粋でまっすぐな気持ち、そしてどんなに辛い境遇に置かれても、それでも『手を繋ぎたい』と思い続けた、強い気持ちのなせるわざだ。
そして、そんな電さんに助けられたのが集積地さんだったというのも大きかったのかもしれない。これが他の深海棲艦さんだったとし
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