第60話 仇
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どういう事ですの!?サソリ」
「お前らには後で説明する......まずは、お前だ」
白井と佐天の追求を振り切るようにサソリは万華鏡写輪眼で神威を使って御坂を異空間に引っ張り込んだ。
高い塔に幾本のパイプが走る中でサソリと御坂は雨が降りしきる真っ暗な空の世界にやってきた。
「......何ここ?」
「オレの術で来れる場所だ......ついて来い」
目の前の扉に入り、木造の廊下を通っていくと、ある部屋の前でサソリが引き戸に手を掛けた。
「御坂......悪いな」
「!?えっ?......どうしたの?」
「オレの弟子についてだ......お前まで巻き込んじまった」
「ち、違うよ!あたしが昔......」
サソリがスッと御坂の頭を撫でた。
まるで御坂が言うのを妨害するように......
「それを踏まえて......この先に行って欲しい。多分、最悪の事をやった」
サソリの表情がいつも以上に真剣で憂いを帯びていた。
「見た上で納得出来なかった、殴っていい......すまん」
「な、何よ......一体どうしたの?」
サソリが引き戸に力を入れて開けると、台の上にへなっと座っている黒髪をした小さな子供が戸を背にしたまま座っていた。
ブカブカの黒い服を着ている。
「?」
御坂がその正体を探ろうとした時に黒髪の子供がゆっくり顔を向けた。
眠そうな目がニコッと笑顔になった。
「お姉さま......ですか?」
絹のように透き通るような綺麗な声が部屋に響いた。
「え......えっ!?」
人形のような手には黒焦げになったあの時あげたカエルのバッジを大事そうに持っている。
「えっ!?え.......え?そ、そんな事って」
「......あの時、助けるのが遅くなってなかなり厳しい状態だったが......ゼツに見付かると厄介だったから」
喪ったモノは二度と戻らない
死んでしまったとばかり思っていた
あのバカに叩き潰されたと思っていた
「破損箇所が多くてな......オレの傀儡を使っても子供に近い姿になったが......」
サソリのお気に入りの傀儡だった『三代目 風影』を材料にしてミサカを人傀儡に造り替えた。
御坂は唇を噛み締めて走り出した。涙が出てくるがサソリの目も憚らずに子供のように黒髪のミサカを抱き締めた。
「ごべんね......痛かったね苦しかったね。あたしのせいで......」
謝罪なんて出来ないと思っていた
かつてのミサカは眠そうに瞼を持ち上げながら御坂を小さな身体でそっとぎこちなく抱き締めた。
「お姉さま。すみません、ミサカの為に」
「うぐえっぐ.......わああああーん」
「ミサカは此処にいますよ......身体は変わりましたが......師匠ありがとう
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