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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百六話 キフォイザー星域の会戦(その4)
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しまう。勝手すぎるではないか。それによくもあんな華々しい戦が出来たな、わしはどうすれば良いのだ。おまけにサビーネをわしが慰めねばならんとは……。侯は昔から身勝手で目立ちたがり屋で無責任だ。だからわしは侯が嫌いなのだ……。



帝国暦 488年  2月 1日 レンテンベルク要塞   エーリッヒ・ヴァレンシュタイン


『ではリッテンハイム侯は戦死したのか』
軍務尚書エーレンベルク元帥が問いかけてきた。スクリーンにはエーレンベルク元帥の他にシュタインホフ元帥が映っている。二人とも表情は微妙だ。

勝利は嬉しいのだが、リッテンハイム侯の戦死には素直に喜べないのだろう。二人ともそれなりに付き合いは有っただろうし、なんといってもオーディンには侯爵夫人が居る。

「先程別働隊総司令官ルッツ提督より連絡が有りました。最後まで降伏せず戦ったそうです」
『そうか、最後まで戦ったか……』
今度はシュタインホフ元帥が感慨深げに呟いた。

報告してきたルッツは不本意そうだった。勝利は得たが、思い描くような戦は出来なかったということらしい。だが全て思い通りに戦って勝つなどそうそう有る事じゃない。敵の兵力の三割を殲滅し、リッテンハイム侯も戦死しているのだ。十分な戦果だと俺は言ったのだが納得したようではなかった。

リッテンハイム侯の死が鮮烈過ぎたということもあるのだろう。一度ゆっくりと話をしてみたほうが良いのかもしれない、メルカッツ提督にも同席してもらったほうが良いだろう。

少しの間沈黙が有った。両元帥とも顔を見合わせるでもなく、ただ黙っている。俺もあえて話すような事はしなかった。何を思っているにしろ二人の心にいるのはリッテンハイム侯だろう。邪魔をするべきじゃない。そう思ったからだ。

沈黙を破ったのはエーレンベルク元帥だった。
『それでこれからの事だが、どうなると見ている?』
「貴族連合による辺境星域の回復は阻止されました。それだけでは有りません、リッテンハイム侯が戦死したのです。彼らにとっては大打撃でしょう」

『うむ』
「辺境星域にある貴族連合の支配地は味方の援軍は当てに出来ないと理解したはずです。こちらの軍が向かえば降伏するか、或いは逃げ出すか……。これから先は辺境星域では大規模な戦は無いでしょう。掃討戦になると思います」

俺の言葉にスクリーンに映る老人達は頷いている。
『ガイエスブルク要塞に篭る敵の攻略は何時頃になるかな』
今度はシュタインホフ元帥が訊いてきた。老人達の視線は厳しい、どうやら内乱の終結時期が気になるらしい。

「本隊は遅くとも今月末にはガイエスブルク要塞に迫れるはずです。ですが要塞攻略は別働隊の合流を待ってからになります。となれば辺境星域の平定にはあと二月ほどはかかるでしょうから移動も含め
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