22. 遊びに来た理由 〜電〜
[1/10]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「天龍二世、このクソ中将に自己紹介してやれ」
……え? 慌てて天龍さんを振り返った。
「フフ……コワイカ?」
突然執務室にやってきた天龍さんの左肩には、天龍二世さんこと、眼帯をつけたPT子鬼さんが乗っていた。
「電行け!!!」
突然司令官さんにそう言われた。あまりに突然のことで私は何がなんだか分からず、ただおろおろとしているだけだった。
「はわわわわわわ……え? 子鬼さ……ぇえ!?」
「連れ出せアカギ!!!」
「はい!!!」
みんなの動きが素早すぎる。おろおろしてる私にはまるでついて行けない。何が起こってるのか分からない。ロドニーさんの声を受けて、赤城さんが私の手を取って執務室から引っ張りだしてくれたけど、私はそれに引きずられるだけだった。
「天龍さん! 彼女は!?」
「演習場だ!」
「ありがとう!」
「コワイカー!」
「さすが相棒!」
赤城さんは私の手を握ったまま、演習場に向かって走り始めた。赤城さんと私では歩幅が違う。私が一生懸命走っても、赤城さんに追いつけない……
「赤城さん! ちょっと止まって欲しいのです! 電追いつけないのです!!」
「ダメです! 止まっちゃダメです!!」
「なんでなのです!?」
「子鬼さんを見なかったんですか!?」
「見たのです! でもなんで子鬼さんが……」
「帰ってきたんですよ!!!」
――また……こうやって……グスッ……手を繋いで、デートしてくれるか?
やっと気付いた。子鬼さんがここにいるってことは……
「集積地さん!?」
「そうですよ! 彼女が戻ってきたんですよ!!」
集積地さんが戻ってきた……戻ってきてくれた!!
赤城さんに引っ張られていた手を離し、私は自力で駆けた。曲がり角を右に曲がって……玄関から外に出て……裏に回って……
「集積地さん……集積地さん……!!」
必死に駆けた。一秒でも一瞬でも早く集積地さんに会いたくて、ただそれだけのために、心臓が破れそうになるほど必死に駆けた。
「集積地さん……早く……早く……!!」
間宮さんの前を通り……全速力でまっすぐ走って……そして、演習場が見えた。
「壮観だクマ〜……」
「ホントですねぇ……」
球磨さんと鳳翔さんが演習場に佇んでいるのが見えた。二人が見るその時には、今まで見たこと無いほどたくさんの深海棲艦さんたち……そして……
「集積地さん……集積地さん!!」
陸上型の深海棲艦さんたちが乗ってきたらしいボートのそばにいた。私が作った『しゅうせきち』の名札がついた、あずき色のダサいジャージを誇らしげに着た、大好きな友達がいた! 埠頭のそばで、なんだかそわそわと周囲を見回していた。
「集積
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ