22. 遊びに来た理由 〜電〜
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意味のわからない言葉を口にする司令官さんを、中将さんは大声で制していた。でも中将さんの顔に浮かんだ感情は怒りじゃない。……あれは恐怖だ。両目にはうっすら涙がたまり、青ざめた顔で身体をガタガタと震わせ、悪戯が球磨さんに見つかったときの子鬼さんみたいな顔つきをしてる。
「……あんた、想像以上に真っ黒ですなぁ」
「……」
「もう一度、あえていいますよクソ殿?」
「……」
「温情をかける立場なのはあんたじゃあない。俺達なんだよ」
「な、何が……望みだ……」
「それを考えるのはあんただ。何をすればいいのか、おうちに戻ってよく考えてちょうだいよ」
「……」
「せいぜいあがけ。自分が潰した子たちに苦しんで詫びろ。俺の可愛い電にライター投げくさりやがった報いだ」
中将さんは、ぐしゃりとその場に膝をつき、『うぉぉぁあああああ!!!』とひとしきり叫んだ後、力なく立ち上がってこの演習場からフラフラといなくなっていた。
「……想像以上のクソだったな。一度でもあの者の元にいた自分が恥ずかしい」
肩を落として、意気消沈して帰っていく中将さん。その背中を見送るロドニーさんがそう毒づいていた。
「そう自分を卑下しなさんな。俺が青葉に調べさせてやっと分かったことだ。お前さんはおろか永田町の誰も気付いてなかったことだよ」
「ありがとう。気が楽だ。……このまま奴を逃してもいいのか?」
「クソに逃げ場はないよ。さっき大淀に報告を上げさせた。憲兵が逮捕に来るそうだ」
「関わった連中は他にもいるだろう?」
「……スケープゴートってのはね、一人で充分なのよ」
「お前は政治屋だな」
「権謀って言ってちょうだい」
司令官さんとロドニーさんが何か難しい話をしている。私には今一よく分からない内容だったけど、どうやら中将さんはみんなに隠れて憲兵さんに捕まるような悪いことをやっていたようだ。なにやってたんだろう?
「司令官さん」
「うん?」
「中将さんに何を言っていたのです?」
私には何か艦娘の名前と地名を言っていたように聞こえたけど……私は素直に司令官さんに疑問をぶつけてみた。ロドニーさんがあれだけ言っていたところを見ると、何か相当マズいことのような気がするんだけど……
「……集積地と初対面のときのことを思い出してごらん?」
「んん? 集積地さんとの初対面の時?」
「つまり、そういうことよ」
私にはいまいちピンと来ない司令官さんの説明は、集積地さんには充分な説明だったようだ。途端に眉をしかめ、不快感を顕にしていた。
「……イナズマ」
「はいなのです?」
「私は助けられたのがお前で……連れて来られたのがこの鎮守府で、本当によかったよ」
「? ??」
『さて……』と司令官さんがいつもの調子に戻
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