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テキはトモダチ
22. 遊びに来た理由 〜電〜
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に海の中に入ったままで、少し離れたところを指差した。そこにいたのはヲ級さん。戦ったときはとっても怖い顔をしていたけど、今はとても優しい笑顔をしていた。

「なぁヲ級?」
「ヲっ」

 ヲ級さんの言葉なのだろう。彼女が『ヲっ』と言った途端、たくさんのたこ焼きみたいな艦載機がヲ級さんのそばに飛んできて、その周囲をふわふわと漂っていた。一瞬美味しそうだと思ったけど、よく見たら微妙にキモかった。

「偵察機で周囲の艦隊に見つからないように来た。お前の提督がやってたことだ。それに、仮に見つかっても、ちゃんと白旗を持ってきた」
「……イナズマ」

 私たち二人のところに、聞き覚えのある声の人が近づいた。一度目の出会いはとっても優しい柔らかい声で、二度目の出会いの時は、殺気がこもったとっても怖い声の主の人。

「戦艦棲姫さん!」
「先日の戦いでは世話になった」
「あの時はごめんなさいなのです……」
「いいよ。戦場でのことだ。それに、あれは先に砲撃したこちらも悪かった。すまなかったイナズマ」
「んーん。いいのです!」

 初めて会った時のように穏やかな笑顔をしている戦艦棲姫さんは、その手に真っ白に輝く白旗を持っていた。

 集積地さんと戦艦棲姫さんだけでなく、イ級さんやツ級さんといったたくさんの深海棲艦さんたちがこの演習場に勢揃いしていた。そして、いるのは海上だけじゃない。

「コナイデ…ッテ…イッテル…ノ……」
「来てるのはそっちだクマ……」
「……アツイ…ノ? アツイ……デショオ…?」
「確かに今日はいい天気ですしねぇ〜。冷たい飲み物でも飲みますか?」

 私自身も資料でしか見たことのない、飛行場姫さんや北方棲姫さんをはじめとした陸上型の人たちも一緒にいる。すでに上陸して、球磨さんや鳳翔さんと談笑しているようだった。

 集積地さんと再会出来たことはとてもうれしい。でもここで、頭にはてなマークが浮かぶ。なんで集積地さんたちは、こんな大人数でここの鎮守府に押し寄せてきたんだろう? 本当に遊びに来るだけなら、こんなに大人数でなくてもいいはずだけど……。

「集積地さん」
「ん?」
「なんでこんなに大人数でここまで来たのです? ホントに遊びに来ただけなのです?」
「……いや、実はちょっと理由があってな……」

 降って湧いた疑問を集積地さんに聞いてみたところ、彼女は戦艦棲姫さんと顔を見合わせ……

「この鎮守府の責任者である、濁りきった死んだ魚の目をした男はいるか!?」

 と戦艦棲姫さんが大声で呼びかけはじめた。んん? 司令官さんにご用事なのです?

「あと、ホウショウという艦娘はいるか!? いたら返事をして欲しい!!」
「それは私ですが……」

 あと、なぜか鳳翔さんも呼ばれていた。
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