第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#24
METEOR STORMV 〜Another Heaven〜
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起こしたというのか。
素質のあるフレイムヘイズでも、
ここまでの破壊力を有するには長い修練と経験が必要。
そして真に恐るべきは、このDISCが有る限り
同じような 『能力者』 がまた生まれるというコトであり、
そのような途轍もない能力を自由に操れる男が存在するというコトだ。
未だ去らない、否、更に増大した脅威に
淑女はDISCへ力を込めるが、中程まで撓んだ所で止める。
表面には亀裂一つ生まれず、
硬質なのにゴムのような柔軟性を以て元に戻った。
「迂闊に、破壊したり棄却したりしない方が良いようであります。
まずはマスターの意見を仰ぎ、その上で処分を」
「妥当」
それまで黙っていたティアマトーが (元々口数は少ないが)
いつもよりやや籠もった声で応じた。
「さて――」
「不承」
放っておくわけにもいかないので、
淑女はミュールの踵を鳴らしながら
荒れた石面に仰向けで倒れる青年の傍に向かう。
途中、リボンを伸ばし 『サバイバー』 のDISCも従業員の頭から回収した。
「……気分は、どうでありますか?」
躯の、至る所に火傷が生じたズタボロの姿、
その度合いはかなり深く場所によっては皮膚が炭化している部分も有る。
無論、それに伴う出血、肉体の疲弊は自分の比ではなく
おそらく今は立ち上がるコトも出来ないのだろう。
どうしてそこまで、自分が受ける筈の傷を彼が、
青年に取っては当然の行為を理外の淑女は瞳を細めて見据えた。
「ん……あぁ〜、終わったか、お互い無事で何よりだ」
ベッドでうたたねでもしていたように、
銀髪の騎士は閉じていた双眸を開く。
実際、本当に意識が飛んでいたのかもしれない、
それほど彼の受けたダメージは痛々しかった。
「立てない、のでありますか?」
「ハハ、我ながら、少々無茶し過ぎたようだ。
命があっただけ物種だな。
昔から、頭に血が上ると身体の方が先に動いてだな」
小用でも失敗したように、軽やかな口調で彼は語る。
もっと、責めてくれても良いのに、
“アイツ” だって、何も言ってくれなかったのに。
重なるはずのない存在が胸中に並存し、過去と現在が明確に意識された。
「まぁ、そういうわけだ。 すまぬがこれ以上力になれん。
この先は君の足手まといにしかならぬだろう。 行ってくれ。
なんとか這う事くらいはできそうだから、 敵にみつからぬよう身を隠してみる」
「……」
何の見返りも求めず、感謝の言葉すら要求せず、
“既に終わった事” として青年は澄んだ視線を向けた。
何だか、過去にずっと拘っている自分が
すごく子供染みているように想えた。
昔の自分なら、あぁそうかという言葉も出さず
平然と次なる戦いに向か
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