第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#24
METEOR STORMV 〜Another Heaven〜
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。
「――ッ! し、」
反射的に片目を閉じた所に、ダン! と強烈な踏みつけが足下を揺らす。
しかしコレはフェイント、連られて前に出そうになる躰を懸命に押し止める。
視界の先で、残像を映す体捌きで少女は標的の補足を困難にする。
なれば虚実全てに対応すべしとヴィルヘルミナも俊足を掻き鳴らす、
しかし真正面から飛んできたのは、
「くっ!」
有り得ない回転軌道で胸中を逼迫する革張りのソファー。
丈の短いスカート(そう言えばどうしてこんなに短いのだろう?)
淑女にあるまじき振る舞いだが思考する暇もなく直上への踵蹴りで
鋼の凶器と化した長椅子を天井にメリ込ませる。
しかしソレは布石、その影から同時投擲されていたテーブルや鉢植え、
装飾品のオブジェ他が矢のように殺到する。
コレを両の手の捌きだけで迎撃するヴィルヘルミナ、
彼女が攻撃より 「守り」 を得意とするコトは以前述べたが
リボンを用いるよりも己が躰を以て成す業の方がその練度は顕著。
しかし鉄壁と云えど防御に固執するのもまた能わず、
追撃を躱しつつ体幹を乱さない高速バク転で背後に逃れる。
充分な距離を取った後ダメ押しのようにサイドにステップを捻った瞬間、
「――ッ!?」
腹部に強烈な衝撃が側面から飛び込んできた。
打撃によるそれではなく、その後も相手の質量と体温が躰にまとわりついてくる。
細い腰に廻された両腕は拘束具のように結合され
万力のように締め付けてきた。
コト結果に至って、ヴィルヘルミナはその過程を完璧に類推、
無数の投擲物を暗幕に少女は頭上へと飛び上がり反転、
天井、壁面と鋭角軌道を描き自分に組み付いてきた。
比較的シンプルな戦略だが、相手のスピードが並外れており
しかも着地を取られれば “解っていても” 抗しきれるものではない。
咄嗟に出た肘打ちを相手の後頭部や首、背中に降らすが不自然な体勢、
そして脚が大地を噛んでいなければ充分な威力は生み出せない。
逆に相手の肘先は自分の 「水月」 に、このまま急速落下の衝撃に加え
全体重を掛け抉り込まれたら脾臓が破裂する。
「くぅ――!」
最早組み伏されるコトは避け得ないと覚った淑女は、
当座の危機を脱するべく細く長い脚線を通常の可動域を遙かに超えた旋回にて
ミュールの爪先を少女の頸椎に突き込んだ。
「あぐぅっ!」
苦悶の表情と共に肘先は弛んだが、
躰の拘束は服を掴まれているので抜け出せない。
衣服諸共引き千切っての脱出、
しかし窮地の一撃の後その暇 がある筈もなく
罅だらけの大理石に二つの躰が着弾した。
戦形としては馬乗りに近い圧倒
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