百九 長夜の始まり
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せているので、元々の幽霊軍団の数を考えるとこれでもほんの一部だ。
思うに現在目の前に立ち塞がるこれらの武人は、【魍魎】の命令により、この沼の国の祠に近づけさせないよう命じられ、岩に模して待ち伏せていたのだろう。
しかしながら、結界を抜けたという事はつまり、鬼の国の遺跡に残る武人より強い事は否めない。
ズシンズシン、と音を立てて近づく幽霊軍団がナルトと紫苑を踏み潰そうと迫り来る。砂煙の中、兵馬俑それぞれの眼に宿る剣呑な光が不気味に浮かび上がった。
「どうする?」
「このまま、行く」
紫苑の問い掛けに端的に答えて、ナルトが高く跳躍する。そのまま一気に祠目掛けて駆けたナルトの背に、紫苑はしがみついた。
しかし、一体の石像がその手に持つ槍を振るう。槍は紫苑の襟元に留められた鈴の留め具を引っ掻いた。
母の形見である大事な、鈴。
宙に放り出された鈴を掴もうと紫苑が大きく身を乗り出す。その拍子に、ナルトの背にしがみついていた手がするりと外れ、紫苑は空中に放り出された。
その背後に広がるのは、岩場の端にある深い谷。
急に消えた背中の重みに、ナルトが肩越しに振り返って手を伸ばす。
同じように紫苑が伸ばした指先が鈴を捕らえた。ナルトの手が宙を掴む。
手に鈴を包み込んだまま、紫苑は為すすべもなく、谷底に広がるつつ闇に吸い込まれていった。
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