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嫌われの忌み子あれば拾われる鬼子あり
第2章 第3話 王都への進行
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えてもみろよ、例えばだ、噂で連続殺人事件が起きています。しかも人間によるものです。しかしこちらから何もしなければ犯人も何もしません。
犯人が今のお前の状態、それを聞いているのが俺。何もしないことが一番なんだよ」

「例えが上手いんだな」

「よせよ、照れるぜ」

少しだけふわっとした信頼っぽいものが生まれたり生まれなかったり…

そしてついに王都へと辿り着いた。
馬車に乗ったまま、王都の通りを進み城内部へと入っていった。客車を降り、何個かある門をくぐり、そしてついに本当の城内に入った。

「ねえ、カイル」

その言葉にカイルは苦い顔をする。

「お前とかカイルとか…俺普通にお前らより歳上だからな?敬う心とかねぇのかよ」

「…ねぇ、カイル」

しかしメリーは動じなかった。

「なんだよ」

「私も…きっと旦那様も今の王がどういう人かわからないのだけれど、どういった人なのか教えて貰えるかしら?」

「我らがフェデル王ねぇ…とりあえず俺に言えるのは、人は見かけによらねぇ、俺より年下、決めた事はやり通そうとする、くらいだ」

「そう、わかったわ」

そしてついに、玉座のある広間へと通された。
そこには何人かの兵士と権力者、そして王族がいた。

「我らが王、フェデル・ナースホーン様言われていた3名無事連れてきました」

「ふむ、ご苦労であったなカイルよ。楽にして構わぬぞ、お主はそちらの方が楽であろう?」

「よくお分かりで」

「お主には良く世話になっておるからなぁ、我がまだ赤子であった頃からだからな」

その声はとても若く、いや幼く聞こえた。未だに玉座は背を向け、姿を表さない王。ただ、声だけで判断するのならとても幼く男とも女とも区別がつかなかった。

「さて、我が城までよく来てくれたな鬼と2名の女達よ。まずは歓迎しよう」

王は立ち上がった。そしてそのまま歩き出し言葉を続けた。

「我のことは聞いているおるかも知れぬが、我こそが『ナグニアル』第32代国王フェデル・ナースホーンである」

背を向けた玉座の前に立ち、胸を張りその胸に手を当て自らを主張している王は予想通り、男とも女とも見分けのつかぬほどの見た目の子供であった。
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