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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第五三話 最強への一歩
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、誰よりも何よりも強くなって――――大切な者を守り抜きたい。

 大切な者の危機を救う存在、正義に成りたいなんて禄でもない渇望を抱いたのは――――今まで、ただの一度として………それが成し遂げられなかったからだ。

 だから、例えその確率が0パーセントに等しい確率だとしても挑まずには居られない。己が手で愛しきものを守り抜ける強力無比の力が欲しい。
 唯其れだけ、心の中に唯一つ確かな炎が在れば人は、あらゆる障害を超克出来る。


「その為には剣が要る―――最強の剱が。」


 弘法は筆を選ばないというが、それはどんな筆だろうと一定の成果を出せるというだけでその実力を完全に発揮出来るという意味かというと―――それは間違いだ。

 自らの適正に合致した、最強の武器。
 其れを手に入れる事が出来れば―――――其処からは、己次第だ。


「―???分かりました。」

 胸の唯依がその言葉に決意した様子で、腕を振り払い真っすぐに見上げながら告げてくる。


「私が、忠亮さんの最強の剣――――最強の戦術機を作ります。」

 そんな彼女の頬へ掌を這わせる。そして愛おしさのままにその唇を奪う。
 愛情のままに彼女を口内から征服するかのように口を吸う。

「ん…んぁ……ぁ……」

 艶やかな喘ぎ声が微かに漏れる。少女の未成熟さと、女の色気が混じり合ったその声に沸き立つものが無いと言えば嘘になる。


「んぁ……もう、行き成りなんですから。」
「許せ、あんまりいじらしい事を言ってくれるから“つい”な。……その日を楽しみにしておく。」

 上気した頬で気恥ずかしそうに頬を膨らませながら俯く唯依。そんな彼女の後頭を撫でる。
 サラサラ流れるようで、それでいて弾力が微かにある心地良い黒髪の感触をしばし楽しむ。

「もぅ……そう言われたら厳しく言えないじゃないですか。」

 ちょっと拗ねたように言う唯依を忠亮は抱きしめ続けていた、今までできなかった分を取り戻すように。
 そして、それは甲斐が二人を呼びに来るまで続いた。





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