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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第五三話 最強への一歩
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をペタペタと触る唯依。どうにも冷静さが吹き飛んでいるようだ。

「……本当ですか?」
「本当だって。」

「信用できません。」
「おいおい。」

 疑う、というよりは不安な様子で聞き返してくる唯依。それに安心させるように言うがバッサリと切り捨てられた。

「だって、忠亮さんは大丈夫って言いますけれど……やり過ぎだってお医者様に注意されていたじゃないですか。」
「それを言われると返す言葉がないな。」

 疑似生体移植後のリハビリの様子を見ていた唯依の言葉に白旗を上げる。
 そんな自分の胸に縋りつく唯依、彼女は切実に痛烈に懇願する。

「忠亮さんはもうちょっとご自身を労わってください。貴方が無常の煌きを(たっと)んでいる事は存じていますが―――それは燃え尽きて良いという事ではありません。
 私は…唯依は、忠亮さんと一緒に歩んで往きたいのです。」
「分かっているさ、(おれ)もだよ。だからこそ、今踏ん張らないといけないんだ。」

 そんな唯依の自分を懐から見上げる唯依の頬を撫でる――――黒玉の瞳が涙で潤んでいる。
 不謹慎だが、それを美しいと思ってしまう。 
 彼女が自分のために心を痛めている、それを嬉しいと感じてしまう。

 それを一欠けらも逃したくなくて、包み込むように両腕で抱きしめる。


「……やっと、お前を抱きしめてやれる。ずっと、お前を抱きしめたかった。」

 忠亮の言葉を耳に胸が痛くなる唯依。
 その願い、通常の疑似生体移植を受ければリスクも殆どなく叶えられたはずなのに――敢えて茨の道を往く彼にいて行かれそうな錯覚を覚える。


「なぜ………忠亮さんはそんなに生き急ぐのですか?貴方を見ていると、時々無性に不安に駆られます。貴方が何処か遠くに行ってしまうようで―――怖いです。」
「すまんな……確かに(おれ)は生き急いでいるのかもしれない。お前には心配を掛ける―――だが、(おれ)は止まれない。」

 腕の中の唯依に答える。

 己という生き物は、機械よりも冷たく状況を見据え、そして炎よりも熱く挑まねばならない。
 誰よりも潔く、そして生き汚くなければならない―――そうでないと、この乱世に生き残るどころか大切なものを守る事なんて出来ないから。

 戦い果てた己達の生き様を無に帰さない為に、払われた流血を無意味にしない為に。
 今を必死に生きる者たちを報われないままに終わらせないために。

 そして、未来をこの手に勝ち取る為に。


「唯依、お前が何と言おうが之だけは譲れない。己は最強の武士(もののふ)になるんだ。―??そう決めて、生きてきたんだ。」


 そして、お前を守りたい。その為だけに、もう数え切れないほどに輪廻を繰り返してきたのだ。
 一重に
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