482部分:第六十七話 豪州という地その七
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第六十七話 豪州という地その七
「だからこそわし等もあの者達も再びこの地上でじゃ」
「人として戦うのだな」
「それが人の正義じゃ」
彼はシオンに対して言った。
「傲慢な神々の正義ではない」
「押し付けられた正義ではなく選び貫き通す正義」
シオンが今言った正義はそうした正義であった。
「そうだな」
「そうじゃな。それではじゃ」
「うむ、その時が来ればだ」
「わしも戦おう」
男はここでもはっきりと言った。
「この場においてのう」
「私も戦うことになるかも知れない」
シオンはその可能性を否定しなかった。むしろ認めていた。
「先の教皇であられたセージ様の様に」
「よいことじゃな」
男はそれをいいこととした。それにセージという名前を聞くと声だけでなく鏡の向こうにあるその顔を綻ばせもしていたのだった。
「あの方と同じことをするというのじゃったらな」
「素晴らしい方だったな」
「うむ」
先の教皇セージについても彼等の考えは同じだった。
「あれだけの方であられたからこそ」
「わし等も戦うことができた」
「私はセージ様には及びはしない」
ここでシオンの言葉には謙遜が入った。
「全くな」
「いやいや、そうではない」
「慰めてくれるというのか?」
「違う。あの聖戦で生き残ったのはわし等だけじゃった」
男はまずこのことから語るのだった。
「しかしじゃ。御主は聖域に残り教皇となった」
「そのことか」
「そして僅か一人から聖域を立て直した」
こう彼に告げるのだった。
「これがどうして素晴らしくないと言えるのじゃ」
「・・・・・・・・・」
「確かにセージ様は素晴らしい方じゃった」
それは否定できないことだというのである。
「しかし御主もまた素晴らしいのじゃ。じゃからあの者達も集っておるのじゃ」
「済まないな。そう言ってもらい」
「よいよい。では頼んだぞ」
頼む側と頼まれる側がここでは入れ替わったのだった。
「聖域のことはのう」
「わかった。では任せてもらおう」
「それではじゃ」
ここまで話すとだった。男の姿は鏡の中から次第に消えていった。
「また会おう」
「うむ、またな」
「八つの場所での戦いが終わった時じゃ」
男は消えながらも話してきた。
「またあらたな戦いがはじまるのう」
「アーレス達との本格的な戦いがだな」
「今は前哨戦に過ぎん」
それだというのだった。男は。
「これからじゃな。本当の戦いは」
「我等が勝つか彼等が勝つかだな」
「アーレスが降り立とうとも諦めぬことじゃ」
それをするなというのである。
「よいな。必ず勝機はあるのじゃ」
「わかっている。私は諦めはしない」
それはないと。断言するシオンであった。
「何があろ
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