暁 〜小説投稿サイト〜
フェイト・イミテーション ~異世界に集う英雄たち〜
ゼロの使い魔編
第四章 タルブでの戦い
青き少女の因縁
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いわ。」

 とのこと。要は唯の退屈しのぎらしい。一体彼女は学院に何しに来ているのだろうとつい疑問を感じてしまう。言わないけど。
だが結局タバサはOKを出した。まあ彼女がそうやって気ままに行動することはよく分かっていたし、それに一人で帰るより心強かったというのもある。

 まあそういうこともあり、こうして馬車に乗り二人はタバサの実家のあるガリアまでやって来たのだった。



「へえ、なかなか立派なお屋敷じゃない。」

 馬車から顔出しながら、キュルケはそんな感想を漏らした。タバサは未だに本を閉じる気配はない。
 というか、キュルケは気付いていた。ガリアの領域に入って以降、タバサが本のページをめくっていないことに。そしてその表情は沈んでいくことに。他の連中には相変わらずの無表情にしか見えないだろうが、これは長い付き合いの彼女だからこそ分かる変化だった。

「(そんなに嫌がるほどの実家って、どんな感じなのかしら。)」

 そういえば、この子が学院に来た理由って聞いたこともなかったわよね、とキュルケは思った。
かくいう彼女も、ゲルマニアにある実家からほとんど厄介払いで来たようなものである。今更あの家に帰ろうなどと、微塵も思ったことなどない。
 そうこうしている内に馬車は屋敷の手前まで来ており、開け放たれた門をゆっくりとくぐった。

「・・・あら?」

 その時キュルケは気付いた。門に刻まれていたのは、紛れもないガリア王家の紋章であった。つまり、

「タバサ、貴女って王族の・・・」

 そこまで聞いたところで馬車が止まった。
 馬車を降りると、ドアの前で一人の老執事が待っており、タバサを見るや否や恭しく首を垂れる。

「おかえりなさいませ、シャルロット様(・・・・・・・)。」






 屋敷に到着した二人はそのまま居間まで通された。到着してからというもの、いよいよ重々しく、しかしそわそわと何とも複雑な空気を漂わせるタバサに、先ほど馬車でのことを完全に聞くタイミングを失ったキュルケであった。

「今日はお父様はいらっしゃるのかしら。ご挨拶したいわ。」
「・・・。」

 気を取り直して言ったキュルケの申し出にタバサは黙って首を横に振った。そして「ここで待ってて。」と一言だけ残すと居間から出て行った。
 「?」と小首を傾げていると、「失礼致します。」と声をかけられた。振り返ってみると先ほどの老執事が紅茶の入ったカップを持って立っていた。

「当屋敷の執事をしております、ペルスランと申します。」
「ゲルマニアのフォン・ツェルプストーと申します。急な押しかけにも拘わらず歓迎してくれたご厚意に、感謝いたしますわ。」

 立ち上がって貴族らしい礼を執ると、ペルスランは「いえいえ。」
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