21. お客さん 〜電〜
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はなおも追い打ちとばかりに神経を逆撫でしまくる言葉で煽っていた。段々心配になってきた……確かに司令官さんの眼差しはいつもの死んだ魚の眼差しで、顔つきも覇気が感じられないいつもの司令官さんだけど、さすがにそこまで煽っていたら……
「付きましてはクソ殿」
「ぁあ!?」
「今回の作戦においては、旗艦の電も頑張っておりましたし……ここはひとつ、『失敗しちゃった☆ テヘッ☆』てことでお収めいただきたいですなぁ」
「お情けにすがる前にまずその態度をなんとかしろ」
「とんでもない。温情をかけるのはこちらですよクソ殿」
中将さんの怒りがマックスになったことを感じた。……でも、司令官さんの言葉の意味がよくわからない。温情をかけるのはこっち?
「クソ殿が今回の作戦失敗を不問にするというのなら、我々があなたに温情をかけてやらんこともないと言っとるのです」
「舐めとるのか貴様!?」
「舐めるだなんてとんでもない。……それともまさかクソ殿!? 同類だからとクソをお舐めになられておいでなのですか!?」
司令官さん……いい加減そのへんでやめておいたほうが……ロドニーさんを見るとぷって感じで吹き出してるし……大淀さんと赤城さんは苦笑いしてるし……でもそれ以上中将さんを追い詰めたら……
私の心配は的中した。中将さんは唐突に『うぉぉぁぁあああ!!!』と叫び声を上げ、司令官さんの机の上に置かれていた電気スタンドを掴み、司令官さんの頭にそれをぶつけていた。ガシャンという大きな音とともに電気スタンドはこわれて床に散乱し、司令官さんはそれでおでこを切ったようで、頭から血が流れていた。
でも。
「ハァー……ハァー……」
「……」
怪我を負わせた方の中将さんは肩で息をしているのに、司令官さんは頭から血を流しつつも、いつもの死んだ魚の目のまま微動だにしてなかった。
「……クソ殿。どうあっても我々に反逆罪を着せたいか」
「事実だからなぁ……それに加えて上官を上官とも思わぬその口調と態度も不敬罪だッ!!!」
「仕方ないねぇ……」
司令官さんが、ゆっくりと立ち上がった。なんだかいつもより背が高く見える。ゆらっと立ち上がった司令官さんは、そのままゆらゆらと中将の前まで歩いてきた。なんだか怖い……司令官さんの雰囲気がとても怖い。
「クソ殿。永田町では何人の艦娘が轟沈したの?」
「あん!?」
「あんたの指揮で、何人の子が……」
司令官さんはいつもの口調で、静かに、ゆっくりと何かを中将さんに話していた。私から見て司令官さんが逆光になっているからかもしれないけど、全身が影に包まれて真っ黒になっている司令官さんが、なんだかとても不気味だ……いやだ……この司令官さんは見ていたくない……見てるだけで怖い……
司令官
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