暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
追う者誘われる者
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すぐにその正体が分かった。

なぜ、地面を歩くのか。

飛行限界時間が設けられていた旧運営体時代と比べ、今は飛行に対する地域(エリア)的な制限はあるものの、プレイヤー単体に限って言えば縛りはないに等しい。

言わずもがな、種族によって変動はあるものの、全種族の飛行速度は徒歩のそれを遥かに凌駕する。そのせいか、今では徒歩が必要になる場面といえばもっぱら飛行するのに必要な日光と月光、そのどちらにも当たることができない洞窟や地底世界(ヨツンヘイム)、そして空を飛べない荷馬車を牽引する交易キャラバンの時くらいとなっている。

その他でわざわざ地面に張り付く必要がある場面――――それは。

そこまで考えた少年が向ける視線の先。

周囲を見回す小隊の先頭にいた長髪のM型アバターがふと顔を巡らし。

眼が、交錯した。

「ッ」

肩を跳ね上げる少年に対し、ウンディーネ達はこちらまで届いて来そうな雄叫びを上げながら、二手に分かれる。

おそらくは前衛クラスと後衛クラスだろう。後衛組のほうには最低限の壁役(タンク)を張り付け、その後ろで魔法詠唱中を示す魔方陣が展開される。前衛組は翅を広げ、一直線にこちらへ向かってくる。

ひぅ、とノドが悲鳴を上げる暇さえなかった。

周りを囲むネコミミ少女達は猛々しく尾をしならせながら、大剣を、爪を、短剣を、長槍を、太刀を、それぞれの得物を音高く打ち鳴らせる。

「うぉー、向こーもやる気みたいだねー」

「それなら話が早いってもんよ。ウチにたてついた代償、一から十一までキッチリ返してもらおーじゃんか」

「うはは、もう利子ついてる。暴利だー」

「どうせならもう二、三割取らんと割に合わないんじゃない?」

という訳で。

せいぜい泣き喚け、水色ヤロー。

沸点に達した戦場は開かれた。

あたふたしている少年をほったらかし、少女達は疾駆していく。
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