暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
追う者誘われる者
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「が……ァッ!?」

ずる、と。

おぶさっていたティフォの背から、矮躯が滑り落ちる。

「ミ、ミサ!?」

ティフォの姿が霞む。一瞬にして自由落下する彼女に追いついた少女は、抱きかかえた小さなアバターを見た。正確には、己の視界隅に浮かぶパーティーメンバーのHPバー。その横に付与された新たなアイコンを。

「麻痺……毒矢か!」

「だ、だいじょうぶ!?いったい誰――――」

慌てて駆け寄った少年が言葉を全て放たないうちに、空気が変質したように変わったのを感じる。

明確には言えないが、ガチリと歯車が噛みあったような、ギアを変えたような、そんな確実な変化。だが出処だけは、明らかだった。

少女達。

突発的な事態にオロオロしているだけの隊長(フニ)とは違い、居並ぶ少女達は尾を逆立て、燃え盛る烈火の如き憤激の形相を浮かべる。

能天気。

それは逆さまにしたら、感情に流されやすいと同義。

なまじ仲間意識が強い彼女達は、さながらミサイルの発射スイッチを覆う安全カバーが常時外されているような状況だ。

そんな少女達を代表し、幼女を横手に抱えるスポーティ少女、ティフォは全員を代表するかのように宣言した。

「ブチ殺す」

次の瞬間、弾丸のように彼女らは炸裂した。一直線に、矢の出処――――隊の背後へと突進していく。

いくらサラマンダーが根城としているフィールド南部が見渡す限りの大砂漠であろうとも、まったく身を隠すような起伏がないという訳ではない。

一定間隔で地面から飛び出すように屹立する巨大な岩塊や、ちょっとした水溜りの周りにできるオアシスに多数生えるヤシの木にも似た樹木のせいで、森林などとは比べるまでもないが、それでも思ったより地平線は限定されている。

ギョロリ、と獲物を狙う猫そのものの瞳を血走らせる少女達は、その中でいち早くクリッターやMob以外の動く影を見つけ出した。

「いたッ!!」

最初に言ったのは誰だったろうか。

声が指すその方向を、全員が刺すような視線で射止める。

直近のオアシスの先。巨大岩塊の隙間を縫うように歩く八、九人の集団があった。

遠目にもわかる淡いペールブルーの髪。サラマンダー領から見て北東、フィールド全体から見て南東を統べる水妖精(ウンディーネ)だ。サラマンダー領と隣り合っているため、彼らが砂漠にいるのはそこまで不思議なことではない。むしろレア度だけで言えば、自分達ケットシーがわざわざ敵地であるここにいるほうが首を傾げられるかもしれない。

そんな彼らは小隊で、地面を歩いていた。

「…………?」

―――何だろう。

フニは、いいようのない違和感を感じた。

脳裏で慎重にその感覚を手繰り寄せていくと、
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