暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
追う者誘われる者
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の他にも数名、計九名の人員で調査団は構成されていた。アリシャに任命された隊長は一応フニなのだが、書類上だけのものゆえか、そもそも彼にそんなにカリスマ性なんてブルジョアチックなものが欠片もないゆえか、隊員に先発されたメンバー達の誰もフニの言う事をマトモに聞いていない。

まぁ、フニ以外の隊員全員が女性プレイヤーというのも一因なのだろうか。年頃の女性にとって今の自分はオモチャ以外の何物でもないのだ。

ボードに張り付くペラ紙をめくりながら、溜め息を堪える少年は口を開く。

「でも、キャラバンの方にも護衛がいたから、結構な乱戦になったらしいですよ。そうなれば派手なエフェクトも出ただろうし、助けはしないけど観戦はしていた傍観者が必ずいたと思います。そういう人達をどうにか捕まえられたら任務終了です」

「……問題は、そのプレイヤーさん達が都合よくこの辺りを通ってくれるか、なのです」

ティフォに背負われるように体重を預けるミニマム幼女、ミサは眼前のティフォの三角形の耳をほにほにしながら言った。

「ここら辺にある大きな街と言えばサラマンダーの首都、ガタンしかないのです。けど、昨日彼らの小隊をボコりまくった私達ケットシーに入領許可が下りるはずがない。だとすればサラマンダーの機嫌を損ねないギリギリの位置で、ガタンから北進してくるプレイヤーを検問するしかない……というのがフニ君の判断でしたよね?」

「あ、ああ」

「けど、検問というのは普通、街中で道路などの細い道を封鎖して行うモノの事を指すのです。こんな広大な砂漠の中でやるのは検問とは言いません。山狩りというんです。ついでに言うと、この人員でやるには非効率を通り越して無謀の類というのも知っておいてほしいのです」

山じゃないから砂漠狩り?と可愛らしく小首を傾げる幼女に論破され、少年は思わず手で顔を覆う。ここで逆ギレしないのもひとえに彼の性格の朴訥さを表していたりするのだが、残念ながら肝心の本人はその自覚はない。

割と本気でドンヨリムードを纏い始める少年に幾分同情的な(というか哀れむような)目を向けながら、ボーイッシュ少女ティフォは言う。

「大将、やっぱここはアリシャから領主間のネットワーク通じてマンダー連中に許可取ってもらって、ガタンの街に直接行ったほうが効率良くないか?向こうにこれ以上借り作るのは癪だけど、こっちにゃ事件解決のお題目がある。いきなりブッ殺されるようなことはないと思うぜ?」

「うぅ、確かに……」

部下(ただし書類上)に言いくるめられる上司(やっぱり書類上)の図。

しょんぼり肩を落とすフニを尻目に、ネコミミ少女達は自由気ままに動き出す。

その――――寸前。

一歩手前。



音もなく飛来した矢が、ミサの背に突き立った。

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