祟り神
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「慣れてるわ、ずっとね」
「そ、そういうこと…」
云うな。そう云い切ってしまうと、何か良くないものにほだされてしまいそうになるので呑み込む。
「理由はね、これ♪」
何事もなかったように薄く笑いながら飛縁魔がスマホをかざした。何かムカつく程美麗な青年?のイラストが表示されている。
「何だ?」
「あなたはどの神と恋をする??ちはやぶる神との恋物語!『ちはやぶる』で検索!検索ゥ!」
「……恋愛ゲーム!?」
―――ホントに出たのかよ!?
少し前に、ゲームか何かの影響で玉群神社の境内に遮光式土器を置かれて困ったことがあった。その時に奉と『アラハバキが出てくる恋愛ゲームをスマホで出されたら積みだな』という話をしていたのだが…。
「どうすんだこれ…あ、アラハバキ出ているか!?」
「無論♪」
「あ〜…これ何、何!?」
縁ちゃんは俺を押し退け、極楽鳥みたいな衣装のイケメン達の中から一際地味なイケメン眼鏡を指さした。
「これ見て!?結貴くん、これ!!」
「―――えぇ!?」
黒い蓬髪、特徴のある煙色の眼鏡、そして古びた羽織……これはまごうことなく、あのえせ奉神じゃないか!?
「……で、このゲームをプレイした子が奉君を発見、しかもこの、奉君にそっくりな子」
アラハバキなのよ、と飛縁魔は悪戯っぽく笑った。
「へぇ〜、お兄ちゃんすごいじゃん!」
「……いや、これ大変なことになったぞ。とにかく急ごう縁ちゃん」
「まってまって、えーと、日野、エマさん?」
飛縁魔…日野エマさんになった!!
「ふぅん…それ頂き。エマでいいわ♪」
お前も乗り気かよ!!
「エマさん、『ちはやぶる』招待よろしく!」
縁ちゃんは自分のスマホを取り出し、飛縁魔とアドレス交換し始めた。
「んふ、カワイイのね。もちろん了解。ついでにLINEも交換しよ?」
「オッケー」
「ちょ、待て!縁ちゃんそんな軽々しく知らない人と」
「結貴くんもね〜、色々情報交換しましょうよ」
飛縁魔は意味ありげに微笑むと、ほぼ無理やり俺のスマホを取り上げ勝手に『ちはやぶる』をインストールした上にLINEの友達登録までしていった。軽い足取りで石段を駆け下りていく飛縁魔を、俺は茫然と見送るしかなかった。
―――思った通りだった。
奉はノイローゼ寸前の顔で、洞の奥に転がっていた。鼻先におはぎをぶら下げると「おぉ…甘味」と呟きながらゾンビのように、のろりと身を起こした。
「……もう2日、水しか飲んでない」
云うが早いか、おはぎを包んだ風呂敷をひったくってタッパーの蓋を投げ捨てた。
「きじとらさんは?」
「分からん。入ってこれないんじゃないか。外では変な女達が目を光らせているからねぇ」
おはぎを口いっぱいに詰め込みながら奉が呟いた。
「
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