第一話「九龍から来た女」
”九龍から来た女"3
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車庫
つばさ「おおーい!のぞみ!」
のぞみ「つばさか!」
300系‐ライトニングノゾミアンは、100系新幹線のひかりと共に、来月で引退だ。
今、最後の花を飾ろうとラッピングが施されているところだ。
それを施している青年‐テツユキもチェンに声をかけた。
テツ「あなたも来てくれたのですか。」
チェン「私は仕事です。ここの警察隊に長期研修配属になりまして。」
のぞみ「本当ですか?助かりますよ。あなたの様なしっかり者がいれば、組織もまとまりが良くなりますよ。」
テツ「俺、いっそのこと・・・局長の椅子、チェンさんにあげてしまおうかな。」
チェン「へ?局長って、AHRの?」
テツユキが、アメリカのロードヒカリアン組織の局長ということは、以前聞いていた。
のぞみ「すみません。彼ときたら、今更運転士に戻りたがっているんですよ。」
テツ「そういうわけでして・・・俺今考えると馬鹿なことしちまったもんですよ。日本に残ってのぞみの運転士になればよかったのに、アメリカで勝手に組織作って、ぐずぐずしてる間にのぞみが引退・・・。」
のぞみ「いつまでもグズグズ後悔しない。」
つばさ「そうだぞ。ほら、大事な彼女が。」
チェン「あ。ミナヨさん。」
ミナヨが車庫の入り口に来ていた。出前を終えた後でもう一度来たらしい。
が、チェンを見るとそっぽを向くように自転車にまたがって行ってしまった。
チェン「アイヤ・・・私、邪魔でしたかねえ・・・。」
のぞみ「テツユキ、行ってやれ。」
テツ「あ?でもラッピングが・・・。」
のぞみ「車両のほうは後でいいから。」
テツユキはしぶしぶ車庫内にあった自転車‐広大な車両基地内での移動には割りと便利だったりする‐に乗り、追いかけていった。
チェン「私もちょっと心配・・・。」
テツ「おい待てよミナヨ!」
ミナ「うるさいわね!」
テツユキの自転車がミナヨに追いついた。
テツ「チェンが嫌いなのか、お前は。」
ミナ「あなたみたいにしつこい人はもっと嫌い。」
テツ「お前は・・・待てっつってんだろ!」
オカモチをはずした状態のミナヨの自転車のキャリアをつかんだ。同時にブレーキ。
ミナ「キャアッ。」
ミナヨが自転車ごと倒れそうになる。
ちゃっかり抱き・・・いや、しっかり受け止め支えるテツユキ。
ミナ「・・・今度から、出前にベロタクシー(※1)の改造車使うから、あなたなんてアッカンベロベロ・・・。」
テツ「いっそシクロー(※2)にシロヨー、なんてね。
・・・ミナヨ、自転車の旅させられたのがそんなに嫌か?チェンはな・・・彼女はあれでもお前のことを思って、親父さんや峠さんたちに提案したんだぞ。お前が変わってくれると信じてな。でなきゃ・・・。」
ミナ「あの時のことはもういいの。あの後、チェンは香港に帰っていっ
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