第一章
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世論、それがあるというのだ。
「仕方ない。我々としてはだ」
「そうですか」
「政治家は万能ではない」
どの様な国家システムの国家でもそうだが民主政治の国家では特にだというのだ。
「世論が神なのだ」
「その世論には逆らえない」
「だからですね」
「そうだ。世論に従う」
いささかおもねりであり責任転嫁的な言葉だがそれでも言う首相だった。
「ではこの法案を通そう」
「はい、わかりました」
「それでは」
こうした議論のうえでだ。そのうえでだった。
閣議でこの死刑委任法、俗に言う復讐法は通った。死刑の執行は被害者の遺族が行いその方法も彼等が決めるという法案は死刑廃止論、そして人権的な見解からも疑問の声が出ていた。だがそれでも世論は強かった。
それで議会でもだった。この法案は議論の結果通過した。衆議院だけでなく参議院でも議論は紛糾したがそれでも通ったのだった。
これを受けてだ。人権派弁護士なり活動家なりがだ。テレビや新聞でしきりに言い出した。
「こんな法案許せませんよ」
「確かに罪は罪だけれどどうなんですか」
「死刑は厳格に定めて行うべきですよ」
「いえ、死刑そのものがです」
彼等は何とかだ。死刑そのものを否定しようとしていた。
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