第二十二話 大学その十
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「嫁いだ、婿入りした家がです」
「有力な継承者の急死や失脚が相次ぎ」
「ロートリンゲン家の血を引く方が主になられています」
「そうしてですね」
「力を得てきた家です」
大陸においてだ、戦争よりも婚姻で大きくなった家であるがその背景にはこうした不気味な事情もあるのだ。
「ロートリンゲン家の政敵となる方は」
「急死、失脚と」
「そうしたことになっていますので」
「身の安全にはですね」
「お気をつけ下さい」
「暗殺、それにですね」
キャスリング卿もマリーに話す。
「冤罪があります」
「身にいわれのない罪で」
「陥れられることも」
こうしたこともというのだ。
「有り得ますので」
「だからですね」
「我々はそうした噂は消して回りますが」
「私自身も」
「お気をつけ下さい」
「わかりました」
マリーも確かな声で答えた。
「私は王位には興味はありませんが」
「それでもですね」
「命を落とすつもりも失脚するつもりもです」
そのどちらもというのだ。
「ありませんので」
「それならばです」
「はい、冤罪になりそうな噂も」
「出ない様にし」
「聞けば」
「摘んでいきましょう」
噂のその目をだ。
「一つ一つ」
「そうしてですね」
「御身を安らかに」
「ロートリンゲン家は考え様によってはアントワープ家以上の権謀の家」
ロドネイ公の言葉だ。
「そうした家を乗っ取ることは常ですから」
「その標的になりそうならば」
「御身を大事に」
「わかりました、これまで以上に」
「権謀を避ける為には権謀を知ることです」
「まずは」
「そうです、ですから」
ロドネイ公はマリーにさらに話した。
「権謀のこともこれまで以上に」
「学び」
「お避け下さい」
「その様に」
マリーも頷いて答えた、そしてだった。
すぐに自身の周りをこれまで以上に固め毒見にだった。
多くの猫や犬を飼い常に周りに置き食事も食べさせた、多くの者はまた多くの猫や犬をお飼いになられると微笑ましい目で見ていたが。
太子はそのことについてだ、側近達に言った。
「毒、だな」
「我々が毒を盛る」
「そのことを警戒されてですね」
「ああして猫や犬を常にお傍に置く様になった」
「それも常に」
「人の毒見だけでなくな」
まさにというのだ。
「猫や犬も置いた、しかも警護役にもなる」
「猫は察しがいいですし」
「犬は鼻が効きます」
「主の危険にはすぐに反応します」
「あれでは人の警護兵以上に厄介です」
「暗殺しようと近付いても」
「気付かれてしまいます」
太子の側近達も口々に言う。
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