第二十二話 大学その七
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「古今東西の書を集めよう」
「異教のそれを」
「敵のものもだ」
「敵の書を読むことは」
「こう考えるのだ」
頑くななマイラがこう言うことはわかっていた、この時も。
それでだ、太子はマイラにこう答えたのだった。
「敵を知ることだ」
「敵を」
「敵を知れば戦いやすいな」
「はい、それは」
「ならばだ」
「敵の書もですか」
「可能な限り集めてだ」
そしてというのだ。
「読み学ぶことだ」
「それが大事なのですか」
「異教徒に勝つ為にもな、だからだ」
「それが為に」
「読むことだ」
異教徒達の書もというのだ。
「可能な限りな」
「それでは」
「わかってくれたか」
「言われてみれば」
頑なではあるが愚かではない、マイラがその資質からも答えた。
「それがいいですね」
「ではいいな」
「その様に」
こう答えたのだった、太子に。
「王にもお話し」
「そしてだな」
「これからも」
「学問についてはその様にしていくことだ」
「わかりました」
「ではな、それでだが」
太子はマイラに自分の考えを受け入れさせてからだ、今度はこう言ったのだった。
「妃はマリー王女と近頃度々会っているが」
「そのことで何か」
「続けることだ」
「これからもですね」
「止めることなくな」
「度々、ですね」
「会って話をすることだ」
こう言うのだった。
「マリー王女は妃の敵ではない」
「では」
「血を分けた妹だ」
マイラにこのことも言うのだった。
「それならばだ」
「度々ですか」
「会って話をすることだ」
そして親睦を深め女王になった時に彼女を補佐にすべきだということは言わなかった、太子の心の内に留めた言葉だった。
「いいな」
「確かに、あの娘の話は」
「いいことを言っているな」
「聡明です」
マリーのこの資質は素直に認めていた。
「それも非常に」
「そのこともありだ」
「あの娘とはですか」
「話をすることだ」
こう言うのだった。
「いいな」
「それでは」
マイラは太子にこのことも約束した、そして夜の床を共にした。そのうえで次の日の王の間での政の話の場においてだ。
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