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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第40話『暗雲』
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これじゃ、どっちが恥ずかしいかわかりゃしない。


「さて。今日もお風呂に入るよね、ハルト? だからさ、その・・・一緒に入る?」

「唐突だな!  昨日も言ったけど、遠慮しておくよ。まだそういう関係じゃないしさ」


頬を紅く染めながら希望を紡ぐユヅキを、さらに紅くなる晴登は否定で返す。
彼女は不服そうな顔をしたが、晴登の意思を汲めたのか何も言及はしてこなかった。


「じゃあまた別の機会だね。・・・って、明日しかないか」

「明日でも早いことに変わりはないけど。…でも、そう思うと寂しくなるな」


場面と感情が一転、ブルーな雰囲気になる。2人は自然と無言になり、自分の未来を考えた。
3日の期間が経て別れを迎えた時、どんな顔をしてれば良いだろうか。例え現実世界の話をしたところで、彼女には干渉できない。それが何よりも寂しかった。


「お風呂、入ってくるね」

「うん」


晴登はそんな雰囲気から抜け出したく、立ち上がる。
そして風呂場に真っ直ぐ向かった。

明日、全てが決まる。2人の思い出も、互いを割り切るキッカケも。
異世界だろうとユヅキは1人の人間だ。つまらない別れなどできるはずがない。


「せめて、泣くよりは笑顔が良いよな」


風呂場の脱衣所で衣服を脱ぎながら、晴登は独り呟く。

彼女に未練を残す訳にはいかない。各々がそれぞれの世界で生きていく為に。だから最後は、泣き顔なんて見せられない。

笑顔、笑顔で・・・






晴登はそのことを入浴中もずっと考えていた。
風呂から上がってからも、それは途切れない。
ユヅキが入浴を終えて、就寝の準備を終えても、思考は曖昧なままだ。

そんな中、ユヅキは声をかけてきた。


「ハルト、何を悩んでるの? もしかして、ハルトの世界の話?」

「うん。帰ってからユヅキと会えなくなるのか…って。そう思うと、すごく寂しいかな…」

「ふふっ。それじゃあさ・・・」

「うわっ!?」


ユヅキの含み笑いを聞いた後、晴登は急に身体を引っ張られる。
為す術なく倒れ込むのは、フカフカな布団の上だ。


「な、何…?」

「よいしょっ!」

「え、ユヅキ!?」


小さくない衝撃に顔を歪めていると、横に更なる衝撃が伝わる。
見ると、息がかかるのではというほど近い距離に、ユヅキも横になっていた。
もちろん、晴登は驚いて距離を空けようとする。が、


「ダメ」

「うっ…」


腕を掴まれ、思うように離れられない。
するとユヅキはじっと晴登の目を見て、口を開いた。


「一緒に寝よう? そしたら、寂しくないよ」

「……」


ユヅキの言葉が心に
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