第40話『暗雲』
[3/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
んだ」
「群れで行動してるって言ったな。どれくらいの数?」
「100頭は下らないそうだよ」
「マジでおっかねぇ…」
諦めるとは決めたが、何となく気になるので情報収集。しかし、集まる情報は冷や汗が止まらなくなるような内容ばかりだった。
「けど、そんな奴らを兵士やら騎士やらで何とかなるの? それに無視するって選択肢も有るだろうし…」
「無視は無理だと思うね。北方ってことは行商人の出入りも多い。だから、そんな所に人喰いの魔獣が現れたとなると大問題な訳だよ。騎士だったら討伐もできないことはないし、それに頼るのは妥当かな」
「お、おう…」
饒舌なユヅキの意見に、晴登も納得せざるを得ない。
だがそれ以上にあることが気になった。
「ユヅキの家の方角は?」
「安心していいよ。正反対の南だから」
晴登の心配が読めたのか、ユヅキは安心させるように言った。東西南北を把握できていなかったから一瞬焦ったが、杞憂だったようだ。
「じゃあとりあえず心配事はないな。あんまり関わりたくもないから・・・今日はもう帰る?」
「ボク達がどうこうできる訳でもないしね。騎士に任せるのが一番だよ。・・・帰ろうか」
こうして2人は南に向かって歩き出した。
*
「なんか残念だなぁ…」
「何を期待してたの…?」
頭の後ろで手を組んで、文句のようにブツブツと呟く晴登。
その様子をユヅキは怪訝そうに見る。
「いや、そのウォルエナとかいうのと戦えること。“人喰い”って要素さえ無ければ、俺たちも討伐に参加できたのかなって」
「何でそんなこと考えるの? 危ないじゃん」
「男子ってそういうもんだよ」
晴登は頷きながら語る。
ユヅキはいまいちピンと来ないようで、首をかしげていた。
「ちなみに、騎士ってどんな人がいるの?」
「唐突だね。・・・ボクも詳しくは知らないし、興味もないかな。でも有名っていうと、やっぱり団長だね」
既に王都を出て、ユヅキの家への帰り道。
晴登は沈黙を避けようと何か話題を振ろうとして、騎士の話題を出した。
騎士、という存在は中々に心をくすぐる。それだけで異世界感というのがあるからだろう。
「団長?」
「そう。王国騎士団団長アランヒルデ。別名"サイキョウでサイキョウの騎士"」
「何で"サイキョウ"って2回言ったの?」
そういう訳で有名な騎士を訊いた訳だが、ユヅキによるとそれは騎士団の団長だという。
別名に色々と言いたいことがあるが、その説明はユヅキが直後にしてくれた。
「1つ目は"最も強い"の“最強”で、2つ目は"最も恐い"の“最恐”。これには少
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ