暁 〜小説投稿サイト〜
非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第40話『暗雲』
[1/7]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話

「思い返すと、さっきの人の名前聞いてないじゃん」

「それを言うなら、ボク達の名前だって言ってないよ?」

「あ、そういえば。てか、腕時計直ったのも言えば良かった!」

「もう遅いね」


異世界版ファミレスで昼食を済ませた2人は予定通り、1日中王都を楽しむという計画を実行していた。
そしてその途中、ファミレスで出会った男性の話題を掘り返し、色々と後悔が出てくるという有り様である。


「まぁ、いいか」

「うん」


彼の存在が気になるが追及はしない。どうせ少し世間話を交わした程度の薄い関係だ。
そう思うと、ユヅキとの関係はどうなるのだろうか。話だっていくらもしたし、それ以上の・・・あぁ思い出したくない。


「じゃあ気を取り直して・・・これからどうする?」


危ない記憶を封じ、表情を切り換えてユヅキに訊く。
意外や意外、王都に残るのはいいが…やることが思い付かないのだ。


「ハルトが探険したいって言うなら付き合うけど…」

「んん…それもアリだな・・・あ、そういやあそこの城って観光とかできたりする?」


晴登が指差しながら示したのは、王都の中心にて頂点に佇む城だ。気にも留めていなかったが、あの巨大な存在感が今は気になる。
ファンタジー世界の王道であるお城を探険できるとなれば、それはそれは楽しいことに・・・


「いや、無理だよ」

「ですよね〜…」


ユヅキの指摘に流れるように反応。
王都の中の唯一の城…それは即ち、“王城”に他ならない。晴登の身分は平民、というかよそ者。そんな立場で王城に入ろうなど、不届き千万、身の程を知れというものだ。
よって、このユヅキの答えは予想済みである。


「じゃあさ、少し近くまで行ってみない? それくらいなら大丈夫でしょ?」

「何とも言えないけど…それくらいなら」

「よし、決まりだな」


晴登は口元を緩め、ユヅキに手招き。今から王城の近くに向かうことにする。
ユヅキは渋々だかそれに応じてくれた。






明るかった空が、少しばかり暗くなり始める。そろそろ夕方、といったところだろうか。
王城に行こうと歩き始めてから10分。目指していた建造物は、近付けば近付くほどその巨大な存在感をアピールしてくる。

しかし、問題にも気づいた。


「何かやけに人が多くない?」


上手く言えないが・・・王城の手前、20人ばかりの人だかりが出来ていた。その人たちの姿は、大通りで見る人たちと何ら変わりはない。
つまり・・・


「直談判とか、そんなやつ…!?」


稚拙な想像が晴登の頭に浮かぶ。
あの人たちが大通りの・・・言い方は悪いが、一般人であるというのは変わ
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ