20. 初期艦は電 〜電〜
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そ、そうなのです!?」
「うん」
その後司令官は初期艦に私を選んだ理由を教えてくれた。とっても恥ずかしそうに話していたけど、目だけはキラキラと輝いていた。
小さい頃、司令官さんは模型屋さんで暁型駆逐艦四番艦のプラモデルを見つけ、そのカッコよさに一目惚れしたんだそうだ。その日のうちにお母さんにお小遣いを前借りして、そのプラモデルを買って帰ったらしい。子供の頃の司令官さんによって組み立てられた暁型駆逐艦四番艦のプラモデルの出来は最悪。接着剤もはみ出ているし塗装だってされてなかったけれど、そのプラモデルは幼い司令官さんの宝物になったんだそうだ。
その後司令官さんは、その暁型駆逐艦四番艦の本を本屋さんで見つけ、やっぱりその本をお小遣いを前借りして購入。自分が心奪われた暁型駆逐艦四番艦とはどんな船だったのか……それを知るため、それこそ手垢で酷く汚れるほど……目線だけで穴が空いてしまいそうになるほど何度も何度もその本を読んだそうだ。
「なんだか恥ずかしいのです……」
「我慢してよ俺だって恥ずかしいんだから……」
その後司令官さんは普通に学校に通い、一般企業に就職。いうほど仕事が出来たわけではないけれど、なぜか社内政治に強くて出世街道まっしぐら。人間関係のるつぼで磨かれた社内政治の手腕は、今でもとっても役に立っているらしい。その分、他のスキルが身につくなんてことはなかったらしいけど。
そのまま月日が流れて去年。司令官さんは繰り広げられる社内政治に突然嫌気がさして退職。他人を不幸にして自分が出世していく……下らない社内政治にうつつを抜かしていたことへの自己嫌悪から自暴自棄になっていたとき、海軍将校募集の広告を見つけたそうだ。
「なんかさ。初めてあのプラモデルを見たときの感覚を思い出したんだよ。身体中に鳥肌がぶわーっとたったというか、胸がギュッて締め付けられたっていうか、そんな感覚を久しぶりに感じた」
「うう……」
「ひょっとしたら電に会えるかもしれない。あの時憧れた世界一カッコイイ駆逐艦の電に、おれは会えるかもしれない……そう思ったら、いてもたってもいられなくなった」
「め、めちゃくちゃ恥ずかしいのです……」
「俺も恥ずかしいんだから我慢してよ……」
その日のうちに司令官さんは海軍将校になることを決意。士官学校最高齢での入学だったそうだ。試験も突破し無事に鎮守府を管理する今の役職についたとのことだ。
そして一つの鎮守府を任される者には、業務の補佐として任務娘、そして当面の戦力となる初期艦として艦娘を一人つけられる。初期艦として選択出来る艦娘のリストを見た時、司令官さんの心を稲妻のような衝動が駆け巡った。
下記リストから初期艦として選択する者の名前を記入する
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